横書き+太字強調 中学教科書「目新しい国語」に注目集まる これは嘘ニュースです
7行でまとめた「走れメロス」(「目新しい国語(中学2年)」から)
「目新しい国語」は、「ITと国際化時代に対応した全く新しい国語教科書」を目標に、IT教育の専門家ら20人が監修。「パイロット版」として3月に発売した。
従来の国語教科書と大きく異なるのは、横書き表記と本文の重要部分を太字で強調した点だ。今日、インターネットのウェブサイトのほとんどで横書きが使われていることや、日常語にアルファベットが増えている状況から「縦書きは非合理的になりつつある」と結論付け、横書きを取り入れた。
また、論説文では段落内で最も重要な部分を、物語文では登場人物や作者の心情が最もよく表れている部分をそれぞれ太字で強調。太字を読むだけで大意をつかめるようにした。さらに収録作のほとんどで、文中の不要な比喩や修飾、会話文を大幅に削って数ページ以内に収めるなどの工夫も随所に凝らした。「走れメロス」(太宰治)は7行、最も短くまとめた「ごんぎつね」(新見南吉)は「ごん、お前だったのか。」の1行のみを太字で収録している。
横書きと太字強調を採用した理由について、勤墾館の担当者は「メールやSNSといった短文のコミュニケーションが主流になった今の時代に、長文読解能力を養う必要がなくなったため」と説明する。同社が行った調査によると、中学生の9割以上が従来の教科書より「目新しい国語」のほうが分かりやすいと答えたという。今後は読者からの意見を取り入れた正式版を製作し、次回教科書検定での合格を目指す。全国の教育委員会で行われる教科書採択で採択率が高まれば、大手教科書会社もこの動きに追随することになりそうだ。
国語教科書に詳しい京都大学速読学部の坂本義太夫教授(影送論)は「21世紀初頭、日本人の長文読解能力は3行だったが、この20年間で140字まで縮まった。一目で理解できる見出しやテレビのテロップのように、脳に負担がかからない短文を大量に処理する能力を高めるほうが現代国語にふさわしい。文章を最後まで読んで味わう、真偽を吟味するという考えはもはや時代遅れだ」と話す。