「油に油を注ぐ」? 川省堂の慣用句辞典が物議 これは嘘ニュースです
「油に油を注ぐ」が収録されている『川省堂明晰慣用句辞典』
今月初旬、辞典の購入者が「誤植ではないか」と、SNSに投稿したことがきっかけで発覚した。「火に油を注ぐ」は「勢いのあるものにさらに勢いを与えること」を意味するが、「油に油を注ぐ」という慣用句は存在しない。
投稿への反響が広がったことを受け、同社は22日、HP上にコメントを掲載。「ガソリン価格が急騰している昨今、『油に油を注ぐ』もまた『勢いのあるものに勢いを与える』という意味を持つと考えて差し支えありません」と説明したが、誤植かどうかについての明言は避けた。訂正や回収はせず、慣用句として辞典に掲載し続けることで既成事実化を図りたいとしている。
実際にない慣用句を掲載する方針を示したことについて、揮発油と言語の関係について詳しい瓦斯倫理研究センターの坂本義太夫所長は「どう言い繕っても『油に油を注ぐ』では、継ぎ足し給油の意味にしかならない」と対応を疑問視する。一方、「このような詭弁が一定の説得力を持つそもそもの原因は、政府がガソリンに対して『税に税を課す』という無理を通しているからだ」とも指摘する。
『川省堂明晰慣用句辞典』は、慣用句やことわざ約1万2千項目を収録。「むだ話などをして仕事を怠けること」を意味する慣用句「油を売る」に、2番目の意味として「庶民をゆすること」を追加するなど、独自の編集方針が一部の愛好家から高い評価を受けている。