「血も涙もない対局」 将棋・右藤アマ、やさしいAIに惨敗 これは嘘ニュースです
投了図
今年1月、右藤さんは「将棋ソフトに勝ったら500万円、負けたら棋士生活を投了する」と宣言。特別対局を開催するため、クラウドファンディングを通じて賞金を集めた。対戦相手は右藤さん自ら、友人のプログラマーが開発した「やさしいAI」搭載の新型将棋ソフト「BB」を指名した。
右藤さんは現在アマランク18位。過去に2度アマ麗王の座についたこともあるが、実力は未知数と言え、今やプロ棋士でも敵わない将棋ソフトへの勝利には懐疑的な見方が多数を占めた。
対局は大方の予想通り、BBが序盤から一方的に攻める展開。前日の会見では自信を見せていた右藤さんだが「おかしいな」とつぶやきながら、苦しそうな表情で何度も額の汗をぬぐう姿があった。
開始から3時間。BBからじわじわと寄せられていた右藤さんは、吹っ切れたかのように駒を次々と切り捨てていく。控え室で検討していた他の棋士からは「自分が生き延びるためとは言え、あまりに血も涙もない指し方だ」と非難する声が聞かれた。90手を超えた時点で、右藤さんの手駒が尽き、玉が1枚だけに。普通なら投了を宣言するところだが、引退を賭けると明言したためか、ここから非常にしつこい姿勢を見せる。
さらに右藤さんの持ち時間がなくなったタイミングで、BBは手駒を次々と盤面に投入。解説の滝原八段は「捕えた駒を今度は味方として尊重する。これが西洋のチェスと違うところなんですね」と、かつて升田幸三氏がGHQに将棋の特徴を説明したエピソードを引き合いに出した。「捨て駒のように非情に切り捨てると、後で痛い目を見ることになるわけですね」。
開始から14時間43分、右藤さんが投了を宣言。877手での決着は歴代最長記録だ。
終局後、BB開発者の志波さんは「BBの『優しいAI』には、手駒を大事にするよう命令を組み込んでいた。本当に血も涙もないのは機械より人間だ」と話した。今後BBのアルゴリズムを政権運営などにも応用したいという。
敗れた右藤さんは「負ければ引退すると宣言していたが」との質問に「投了するとは言ったが引退とは言っていない。ご指摘を真摯に受け止め、今後とも精進してまいりたい」と地位にしがみつく様子をうかがわせた。