【書評】『とりあえず謝罪入門―何が悪いかわからなくても頭を下げる技術』 [著]中村低姿勢 これは嘘ニュースです

『とりあえず謝罪入門―何が悪いかわからなくても頭を下げる技術』
著者は不動産会社の営業職を退職後、謝罪代行企業「ドーゲザ」を起業した謝罪のプロ。生き残るための謝罪とは「何が悪いか分からなくても、ただ頭を下げること」と定義する。日本においては、謝罪後の責任追及は「謝った相手にこれ以上責めるのか」と同情論を喚起できるからだ。
「『サバイバル謝罪術』は一種の芸術」という。謝罪代行業が成り立つのも、西洋的、キリスト教的な罪の意識と無関係な「申し訳ありませんでした」がパワーワードとして機能する日本文化が背景にある。
ただし、サバイバル謝罪と言えど、そこには想像を絶するほどの忍耐力が必要だ。謝罪したにもかかわらず「自分の何が悪かったのかを本当に理解しているのか」と追いつめる、粘着質な教師や上司に耐えられず、殴ってしまった人の割合は9割を超えるという。「とりあえず謝罪」は、案外難しい。
自身の経験談も豊富だ。失言したある政治家から依頼を受けたときは、誠実に謝罪するよう助言。謝罪文の作成も請け負った。著者の努力が実って騒動を切り抜けたものの、後日、その政治家は週刊誌で自身の正当性を弁明。謝罪後の往生際の悪さが致命傷となり、翌年の選挙で落選した。「サバイバル謝罪術を徹底していれば、このような悲劇にならなかったのです」と振り返る。
本文160ページと新書本としても短いが、著者の筆が乗らないまま締切を迎えたのか、70ページから唐突に文章が途切れ、以降は白紙になっている。
出版社に問い合わせたところ、製版ミスではないとのこと。ラストに唐突に現れるあとがきは「この度は申し訳ありませんでした」と、著者の誠実さが感じられる清々しい謝罪で締めくくられている。許した。
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カモノハシ新書・1280円。3刷1万2千部。「苦情が殺到したおかげで、私の謝罪スキルも上がりました」と担当編集者。
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ネットやSNSの普及によって、ビジネスパーソンなら誰もがトラブルに対応する危機管理能力が求められる時代になっています。特に「謝罪」という行為は個人だけでなく企業の行く末を左右するほど、重要なビジネススキルのひとつです。では、ただ単に謝ってその場を収めればいいのでしょうか? それは大きな間違いで「謝罪」こそが、次につながる最大のビジネスチャンスなのです。マイクロソフトという大企業で品質担当の業務執行役員を務めた経験を持つ筆者が、過去の自身の経験を元に、より実践的かつ戦略的な謝罪術をわかりやすく解説。新入社員から幹部社員まで、本当に役立つ謝罪の極意を指南します。社主ピックアップ

