紫式部の「裏日記」発見 清少納言への呪詛つづる これは嘘ニュースです
2ページ丸々「うらむ」で埋め尽くされた個所もあった
『紫式部裏日記』は京都市内の古書店で購入した男性が昨年6月、藤原教授に持ち込み鑑定を依頼していた。文体だけでは確証に欠けるため、放射性炭素年代測定法を用いて紙と墨の成分を調べたところ、平安時代中期のものであることが科学的に証明された。
『紫式部日記』は清少納言を「したり顔で偉そうだ」と厳しく批判した部分が広く知られているが、『裏日記』ではさらに本文全体の8割強を清少納言への批判に割いているのが大きな特徴。「生霊になって取り殺したい」「牛車に轢かれてしまえばいい」など読むに堪えない心の闇を優美な筆づかいでつづっている。中宮彰子の出産など『日記』と重なる出来事が多いことから、両作はほほ同時並行で書かれたとみられる。
「目を覆いたくなるほどひどい内容だったので、絶対に後代の偽書だと思った」と話す藤原教授が認識を改めたきっかけは「あいつのいる廊下に糞尿をまき散らしたい」など『源氏』をほうふつとさせる記述が多かった点だ。
「直接的な罵倒から皮肉、冷笑まで『平安罵倒語辞典』と呼んでいいほどの完成度。紫式部の文才を余すところなく清少納言批判に費やしたのは、逆に彼女のことが好きだった証ではないか」と推測する。『裏日記』に関する藤原教授の論文「愛がすべてを支配する~『紫式部裏日記』を読む~」は専門誌「ディープ・パープル」第81号に掲載される。
平安文学に詳しい京都大学古典学部の坂本義太夫教授は「非公開だと思い込んで書きなぐった『裏日記』はその流出に至るまで、今に通じる日本らしさが感じられる。ネット時代に生きるわれわれも学ぶべき点は多い」と話す。