『虚構新聞 全国版』、100万部を完売 これは嘘ニュースです
『虚構新聞 全国版』(東アジア区考古学研究所所蔵)
同作は2017年4月28日発売。「4年ぶりの決定版」を銘打って発売したものの、当時の読書家からは黙殺され、全く話題にならなかった。
しかし、需要を読み誤った出版社が初版100万部を印刷していたため、在庫処分の販売は継続。発売後10年ほどは1冊も売れない日が続いたが、第3次世界大戦後に訪れた核の冬時代には、暖を取る燃料として「全国版特需」が到来。その後3年ほどは過去最高の年4千部ペースでの売り上げが続いた。当時の記録には「新聞紙を模した燃えやすい紙質が思わぬ形で功を奏した」と記されている。
紙の劣化を防ぐため、26世紀には専用の保管庫に移動。30世紀ごろからは「現存する中で最も新しい紙の本」として、また21世紀当時の風俗を知る歴史的資料として、研究機関を中心に年数十冊ペースで販売が続けられていた。
発売からちょうど3855年後の5872年4月28日、ついに最後の1冊を出荷して100万部完売を達成。執念とも言える100万部到達まで約140万日、1日平均約0.7冊ずつ売れた計算だ。達成報告を受け、虚構新聞社は「初代社主の遺志を貫徹できたことを誇りに思う」とのコメントを発表した。
最後の1冊を購入したのは旧日本区の男性で、使い道について「メルカリに出品する」と話している。