Kyoko Shimbun 2014.05.26 News

伊能図にトレス疑惑 別の日本地図見つかる これは嘘ニュースです

大阪市内で見つかった「宝暦元年虞々瑠測量全図」
 日本で初めて国土を正確に記録した「大日本沿海輿地全図(伊能図)」を著した測量家・伊能忠敬(1745~1818)が所蔵していたと見られる極めて正確な古地図が、先月大阪市内の古書店で発見された。忠敬が測量に出立する以前の年号が記されたこの地図には「伊能図」と共通する地名ミスなどが見られることから、忠敬がこの古地図をトレス(複写)して「伊能図」を製作した可能性もあるという。

 大阪市内の古書店で見つかったのは「宝暦元年虞々瑠測量全図」。日本全体を俯瞰した全体図など全329枚と、忠敬の幼名である「三治郎ニ送ル」と題した差出人不明の書状1通からなり、いずれも保存状態は良いという。また測量図を収めた桐箱からは伊能忠敬本人のものと見られる署名も確認された。宝暦元年は西暦1751年にあたり、忠敬が測量を開始した寛政12年(1800年)より半世紀近く早い。

 今回鑑定するにあたって特に注目されたのは、「虞々瑠測量全図」と「伊能図」の両方に共通の誤りが多数認められる点だ。

 「伊能図」所収の東京湾周辺図には、当時幕府の直轄地だった当代島(現在の千葉県浦安市)近くに、「鼠遊園(そゆうえん)」という庭園が記されているが、その実在は確認されておらず、研究者にとって長年の謎だった。だが今回見つかった「虞々瑠測量全図」にも同じ位置に「鼠遊園」の記述があったことから、忠敬が地図を作る際に「虞々瑠測量全図」を写した可能性が高まった。

 これ以外にも両地図には「当時まだ湖だった八郎潟が埋め立てられている」、「「江戸空中塔」など架空の地名が複数含まれている」などの共通点が確認できている。


 地上での測量のみで作り上げた「伊能図」の正確さは、その後の衛星写真によって改めて評価されたが、「虞々瑠測量全図」の鑑定にあたった大阪市教育委員会の担当者は「今回の地図の誤差は伊能図よりもはるかに小さい十数センチで、これはGPSにも匹敵する。当時の技術水準をはるかに超えている」と驚きを見せる。

 「伊能図」に先んじて著された「虞々瑠測量全図」の作者について、今のところ歴史上該当するような人物は全く見当たらず、「いったい誰がどうやってこのようなものを作り上げたのか」と、専門家も首をかしげる。

 測量学に詳しい京都大学地質環境学部の坂本義太夫教授は「急いで日本地図を作らないと人工衛星に先を越されると焦った忠敬が功を急ぐあまり、魔が差して他人の地図を借用してしまったのではないか。我々の世界でもよくあること」と分析する。

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<BOOK>伊能忠敬: 日本を測量した男

 緯度一度の正確な長さを知りたい―。忠敬が奥州から蝦夷地にかけての測量の旅に向かったのは、一八〇〇年、すでに家督も譲った五十五歳の春であった。傾きかかった佐原の名家に養子に入って家業を建て直し、隠居後は天文・暦学に精進し、身分の軋轢をはねかえし、初めて日本の正確な地図を作成した晩熟の男の生涯の軌跡。

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