【書評】コスパ入門 [著]藤間頼通 これは嘘ニュースです
コスパ入門 [著]藤間頼通
本書の白眉はとりわけ第3章の「コスパの高い/低い仕事」だろう。
研究機関から送られてくる謎の薬を半年間、1日3回飲み続ける(月収50万円)、フィリピンからシンガポールまで観光客としてトランクを運ぶ(1回10万円)など、日本ではまだ広く知られていない仕事を、コスパの高い「トリプルA」から最低の「F」までランク付けし、その連絡先とともに紹介する実用的な内容になっている。ちなみに「月70万円支給される」と昨今話題の「イスラム国」兵士も評価の俎上に載せているが、著者は「いろんな意味で馘首(かくしゅ)のリスクが高い」として「C」にとどめている。
「自炊か外食か」「持ち家か賃貸か」といった論争が尽きないコスパ問題についても触れつつ、一方で「コスパを追い求めて奔走する労力が人生のコスパを悪化させている」という昨今のコスパ偏重主義への批判も含んでいてなかなか侮れない。
100ページ足らずの、まるでパンフレットのような新書本ながら、押さえるべきをしっかり押さえた入門書としてはなかなかの好著である。
◇
カモノハシ新書 1万2800円