春の歯ごたえ タケノコくり抜き最盛期 京都 これは嘘ニュースです
櫛状にくり抜かれた黄桜タケノコ
電球のフィラメントの材料として使われたことで知られる黄桜町の竹は、春の味覚「黄桜タケノコ」としても知られる。同町内でタケノコ農家讃岐泰造さん(60)は、その日の早朝に掘り出したばかりの朝掘りタケノコを作業場に運び込むと、手際よく皮をはぎ、包丁で身を縦に割った。
「近ごろの人は、最初からタケノコの中が空っぽだと思っているようですね」。そう話す讃岐さんの両手には中身のぎっしり詰まったタケノコがあった。
ノミのような専用の器具を使い、櫛(くし)のように等間隔に身を残しながらタケノコを丁寧にくり抜いていく。最低でも15年の修業が必要なこの作業を経ることで、タケノコ独特の歯ごたえが生まれるだけでなく、中まで出汁が浸透しやすくなるという。和食の定番・タケノコ料理が味わえるのは、讃岐さんのようなタケノコ農家による繊細な作業の賜物だ。
近年は自動くり抜き機や、ピーマンと掛け合わせて最初から中に空洞を持たせた新品種の開発も進みつつあるが、まだまだ手作業ほど絶妙な層が作れないでいる。
「レンコン農家さんのパンチング(穴開け)もそうですが、まだまだ昔ながらのやり方のほうが強いですね」と讃岐さん。作業は5月中旬まで続く。