差別語、卑猥語収録せず 子供向け辞典「排除林」発売 これは嘘ニュースです
子供向け辞典「排除林」(青空出版社)
「子供が辞書を積極的に引くのは良いことだが、悪い言葉まで一緒に覚えるのではないかと心配です」
「排除林」を作るきっかけは5年前、ある母親から同社に寄せられた1通のメールだった。
「言われてみると、辞書には性に関する言葉だけでなく、『ばか』『ブス』のような罵倒語も多い。まさか辞書が悪い言葉に触れるきっかけになるとは盲点でした」と編集担当者は振り返る。
「排除林」を作る下地となったのは、同社が出版する「青空明晰大辞典」。そこから基本的な語句を抽出し、さらに教育上不適切な言葉を除外していった。だが、編纂作業は想像以上に困難を極めたという。
「例えば『豚』は罵倒語になるかどうか。疑わしい一語ごとに編集委員同士で議論するので、採用の判断に多く時間を割きました」
最終的に「豚」の収録は見送られた。収録語数は1万3千語。一般的な小学生向け辞典の3分の1程度だ。大幅に減った原因は、編集委員の1人の精神分析家が「ネクタイ」や「噴水」なども性を暗喩しているとして次々と除外したためだという。
「『慎重すぎる』と言う大人もいるかもしれませんが、何より子供の心情に寄り添った結果なのです」
出版社が行った事前調査では、「欲しい」と答えた割合は保護者で90%を超えた。その一方で子供の支持率は13%と振るわなかった。理由の大半が「変な言葉やいやらしい言葉をこっそり調べて線を引く楽しみがなくなるから」だった。
調査結果を踏まえ、同社では収録語に変更を加えず発売した。その理由について担当者は説明する。
「とは言え、財布のひもを握っているのは子供ではなく、大人なんですよね」