「IQ160以上しか理解できない絵本」 ブームの兆し これは嘘ニュースです
『くまさんとパンダくん』(黒猫出版)
絵本『くまさんとパンダくん』は、主人公のくまさんと友達のパンダくんが湖にピクニックに出かける物語。途中森の中でどんぐりを集めたり、お腹を空かせたきつねどんにサンドイッチを分けてあげたりするほのぼのとした内容で、最後はくまさんがベッドの中で楽しかった1日振り返りながら、ぐっすり眠って幕を閉じる。
対象年齢は3歳以上。字が読めない幼児でも楽しめるようになっているが、出版社では「物語の本当の意味が分かるには『秀才』とされる知能指数160以上が必要になる」と解説している。
今年7月の発売後、有名書評家のやなしたみきお氏が自身のブログで「非常に示唆的。知識人必読の書」と紹介。それを追うかのように全国紙の書評委員が「大きな物語が喪失した現代における物語の再構築」「共生思想の最先端」「日米同盟のあるべき姿」「すげえおもしろかった」など専門分野を問わず好意的な書評を続々と掲載した。
いずれも絶賛に近い内容だったことから、読書家の間で注目を集める1冊に。ネット書店大手のアマゾン・ドット・コムでも、同書の平均評価はほぼ満点の4.5点を記録。「目からうろこ」「深い」など漠然とした感動コメントが並ぶ一方、「ただの幼児向け絵本」と低評価を付けた人に対しては「幼児程度の理解力」と批判が寄せられた。
現在18刷30万部。全国の書店から注文が殺到しているため、黒猫出版ではさらに50万部の増刷を決めた。
『くまさん』の出版担当者・柳下土生氏によると、同作は元々8年前に同社が出版したものの、38部しか売れなかった絶版作品だという。作者が「恥ずかしいからもう忘れたい」と全ての権利を同社に譲ったことをきっかけに、柳下氏が「再発掘」。「意味が分かればIQ160以上」シリーズの第1弾として再び出版した。
「近頃の大ヒット映画を見ても分かるように、物語が単純であればあるほど、知識人は自分の専門にからめて勝手に深読みしてくれます。その上『IQ160シリーズ』として出せば、立場上彼らはしたり顔でほめるしかない。それを鵜呑みにする一般読者についてもアマゾンさんを見ての通りです」と柳下氏。
来月にも発売を予定している「IQ160以上」シリーズ第2弾は『赤本』。大学入試の過去問題集ではなく、真っ赤に塗りつぶした紙だけを綴じた400ページだという。初版180万部。「IQ160を超える秀才の方々が赤本をどこまで深く読み込んでくれるか、今から書評が楽しみです」と期待を寄せる。
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