重箱にドロドロの液体… おせち詐欺続発 これは嘘ニュースです
一番上から時計回りに、何となくかまぼこ、何となく黒豆、何となく昆布巻き、何となく栗きんとん、何となく数の子、何となくレンコン、何となく海老、何となくだし巻。中央にあるのはただの泥とみられる。
仙台市に住むAさん(女性・仮名)宅に取り寄せおせちが届いたのは、大みそかの夕方6時。全国的に有名な料亭が監修、1セット3万8千円、インターネットで予約を開始して5分で売り切れた豪華おせちを受け取ったAさんは、開封してすぐ言葉を失った。ボール紙でできた重箱の中に入っていたのは、おかゆのようにドロドロになった謎の液体。しかも申し訳程度の量しか入っていない。
「頭の中が真っ白になりました」とAさんは話す。流動食のようになった中身をよくよく見てみると、何となく数の子のようなもの、何となく栗きんとんのようなものなど、かろうじておせち料理の体面を保っているかのように見える。
想像していたものからあまりにかけ離れた出来栄え。Aさんは急いで重箱に記載されていた製造元の電話番号に問い合わせた。
「午後7時18分40秒をお知らせします…」
時報だった。注文を受け付けたホームページも「404 Not Found(見つかりません)」。もはや連絡するあてもなくなり、結局Aさんの手元に残ったのは3万8千円と引き換えに手に入れた、ドロドロの流動食だけだった。
昨今流行の兆しを見せる「取り寄せおせち」をめぐるトラブルが今年は頻発した。1日には共同購入サイト「グルーポン」を通じ、50%割引で購入したおせち料理が、残飯のような内容でなおかつ腐っていたことが発覚し、製造元のインターネット掲示板が炎上、返金騒動に発展した。また、見本写真と全く同じおせちのプラスチック製食品サンプルが届いた事例など、おせちを作る手間を面倒くさがったがゆえの自業自得トラブルが相次いでいる。
2011年、仙台市のAさん宅はおせち料理のない元日を迎えた。毎年嫁の作るおせち料理にねちねちとケチをつけるのを生きがいにしてきた姑のトメさん(仮名・86歳)は、「今年はつつく重箱の隅もない」と残念そうに話す。