「クラムボン」の正体、ついに明らかに 論争に終止符 これは嘘ニュースです
詩人・童話作家として知られる宮沢賢治(1896~1933)の短編「やまなし」で、長らく研究者の間で議論になっていた言葉「クラムボン」が当時新興国家であったソ連に向けての暗号であったことが明らかになった。論文は今月発売の『文藝星雲(ネビュラ)』に掲載される。今回明らかになったのは、短編童話「やまなし」に登場する造語「クラムボン」。岩手県立陸山大学文学部・柏林世高(かしわばやし・よだか)教授(近代文学)は、ロシア政府が昨年公開した旧ソ連時代の外交機密文書の中に、賢治の名前と「クラムボン」の記述を発見した。この文書によると、賢治はソ連が建国される数年前からソビエトのスパイとして、主に農業分野での諜報活動を行っていたとされる。
発見された機密文書によると、クラムボンは当時日本に潜伏していたロシア人スパイ・セルゲイ=ブレジネフのコードネームで、作中の「クラムボンは死んだよ。」「クラムボンは殺されたよ。」などの記述は、ブレジネフが日本の公安警察に暗殺されたことを伝えていた。
柏林教授は「賢治の作品には「イーハトーブ」など造語が多く、かねてから研究者の間でこれらの言葉の解釈をめぐる論争が絶えなかった。だが今回ロシア側からの資料公開によって、この論争に終止符を打つことができた。テクストだけから答えを引き出そうとせず、政治という異なる角度からアプローチできたことがよかったのではないか」と自信を見せた。
童話「やまなし」は1923年に発表された短編。長らく小学生向け国語の教科書に収録されてきたこともあり、「クラムボンとは何か」の問いは専門家だけにとどまらず、一般からもさまざまな解釈を生み出してきた。この「やまなし」発表の前年にあたる1922年、レーニンによってソ連が建国されている。