Kyoko Shimbun 2020.06.05 News

「みんなで協力すれば立ち向かえる」スイミーさん、マスク姿で語る これは嘘ニュースです

マスク姿で取材に応じるスイミーさん
 世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスが日常生活に与えた影響は陸上だけでなく海中にまで及んでいます。感染予防を意識した「新しい生活様式」は、海の生活にどのような変化を与えているのでしょうか。絵本「スイミー」で子どもから大人まで幅広い支持を受ける小魚のスイミーさんに話を聞きました。

――新型コロナウイルスによって、海での生活に大きな変化はありましたか。

 「新型コロナウイルスは水中でも長時間生存するらしい」という情報が、海の生き物たちに伝わってからは、陸上と同じようにほとんどの生き物が活動を自粛していました。僕のような小魚は岩陰で動かずじっとしているだけで済みますが、捕食中心で生活してる大型生物はかなり辛そうでした。マグロなんかはエサ探しが大変で、毎日眠らずに泳ぎ続けていたそうです。

――当面はウイルスと共存する「新しい生活様式」が強いられそうです。

 ようやく地上での感染が減ってきたのか、5月下旬からこの近海にも海水浴客がやってくるようになってきたので、僕たちも仲間と一緒に泳ぎを再開し始めたんですが、今までのようにみんなで集まって大きな魚のように振る舞おうとすると、どうしても「密」になってしまいます。一時はチームの解散も考えたんですが、密は変えないまま、マスクの着用、うがいやヒレ洗いを徹底することで対応することにしました。ウイルスから逃げられても、そのせいでマグロに捕食されてしまったら意味がないですしね。

――地上の生き物たちに向けて何か伝えたいことはありますか。

 これからマスクをつけるのが大変な季節になりますが、近い将来きっとまたマスクなしで自由に泳ぎ回れる日が来ます。1匹1匹の力は小さいけれど、みんなで協力し合えば、どんな大きな敵にも立ち向かえることは僕自身が経験したことです。

――ありがとうございました。

【記者の目】
 「協力することの大切さ」を長年訴えてきたスイミーさん。取材中も息苦しさを我慢してマスクを外すことなく語る姿から収束に向けた強い意志がうかがえましたが、その決意の強さのあまり、記者は取材中「魚はエラで呼吸するのではないですか」という言葉を何度も飲まなければなりませんでした。

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