Kyoko Shimbun 2019.07.01 News

「何もかもゲームが元凶」 被ゲー妄想、再流行の兆し これは嘘ニュースです

被ゲー妄想セルフチェックシート
 社会問題の原因をテレビゲームだけに還元してしまう、「被害型テレビゲーム妄想症(被ゲー妄想)」を訴える人が近年、再び増加の傾向をみせている。専門家からは20年ぶりの再流行を危惧する声も上がっている。

 被ゲー妄想にとりつかれると、「凶悪犯罪」「家庭内暴力」「道徳観の欠如」など、本来複合的な要因で引き起こされる社会問題の元凶が、全てテレビゲームにあると見なすようになる。

 被ゲー妄想の治療を専門に扱う藤府メンタルクリニック(横浜市)の大平豆輔医師によると、ここ数年、相談に訪れる患者の数が増え続けているという。

 「被ゲー妄想の人たちは『テレビゲームさえなくなれば、全ての問題が解決する』と、真剣な顔つきで話す点で驚くほど共通しています」と、大平医師は説明する。

 厚生労働省の統計によると、被ゲー妄想は1980年代から90年代にかけて増加していたが、テレビゲームに関する正確な知識が行き渡ったことや、任天堂の体感型ゲーム機「Wii」の爆発的ヒットをきっかけに減少。そのため、専門家の間では「被ゲー妄想は20世紀の時代病」との見解が定説だった。

 これまでの定説を覆す近年の増加の原因について、大平医師は「就職氷河期世代の引きこもりなど、新たな社会問題とテレビゲームを関連づけようとする昨今の報道が、潜在的な不安感や恐怖感を被ゲー妄想へと悪化させる後押しをしたのではないか」と推測する。

 厚労省の統計から、被ゲー妄想を訴える人はマスコミ関係者に多いことが知られている。「自覚症状のない患者が自分の妄想を公衆に発信して、新しい患者を再生産する悪循環が生まれつつある」と警鐘をならす。

 有効な治療法には、医師と話しながらゲームに対する過度な敵意を抑える対話療法と、被ゲー妄想を煽るゴシップ誌やワイドショーを断つなどして生活習慣を改める行動療法がある。ただし、完全な治療法がまだ確立していないこともあり、インターネット上には「ゲーム機の削りかすを混ぜて希釈した水を染み込ませた砂糖玉を服用する」など不確かな情報が飛び交っている。大平医師は「医学的根拠はなく、かえって症状を悪化させる恐れさえある」と注意を促す。

 大平医師はこれまでの診察経験から、8項目からなる被ゲー妄想セルフチェックシートを作成、公開している。6つ以上当てはまる場合は、医師に相談するよう勧めている。

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