校長先生の祝辞、16時間超えで世界新 鷽谷小 これは嘘ニュースです
入学式は翌日未明まで続いた
鷽谷小で8年間校長を務める津田三三(さんぞう)校長(60)が、ライフワークとして毎年挑戦してきた。これまでの自己最長記録は2013年の13時間44分32秒。定年を迎える津田校長にとって、最後のチャレンジだ。
公式ルールには「10秒以上の沈黙禁止」「原稿持ち込み禁止」などスピーチに関するものだけでなく、「参加者全員が寝てしまうと失格」といった聴衆に関する規定もあるため、聞き手を引き付ける話術も必要になる。
午前9時13分、教頭が「式辞」とアナウンスすると、津田校長は緊張した面持ちで登壇。「新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます。ご列席のご家族の方々にも、心からお慶び申し上げます」というおなじみのフレーズを述べた瞬間、4年生の女子児童が貧血で体調不良を訴えてリタイア。先行きが不安視される中、さらに「あいさつは元気よく」「友達をたくさん作ろう」「分からないことは先生に聞こう」など、校長着任以来一言一句変わらない伝家の宝刀で畳みかけると、新入生だけでなく在校生まで圧倒的な眠気の渦に巻き込んだ。
開始から12時間後の午後9時、「初日に話しかけてみた生徒とは、それほど仲良くならない」など「入学式あるある」について語り終えた時点で、児童は全員就寝。最後の挑戦を見届けようと意気込む一部教職員と保護者だけが、睡眠の誘惑に負けることなく、直立不動で耳を傾け続けた。
しかし翌10日未明に始まった質問コーナーで、新任教員からこの日の残業代について尋ねられた津田校長が「給特法(教育職員給与特別法)にある通り、何時まで続いても永久ゼロ円です」と回答したことで事態は急転。それまでうたた寝していた教員までが壇上や教育長が座る来賓席になだれ込み、式辞は「寝言は寝て言え」などの怒号にかき消された。
午前1時20分、混乱の中でスピーチが途切れて聞き取れなくなったため、式辞は終了。記録は16時間6分17秒で、2007年に秋田県三途中学校でつくられた世界記録14時間12分9秒を大幅に更新した。
この日入学したばかりの男子児童(6)は「ちゃんと残業代を支払っていれば、もっと記録を伸ばせたのに」と残念そうに話す。