「絶対に死刑」 裁判員が判決を予告 大津 これは嘘ニュースです
今年1月、滋賀県草津市の駄菓子屋で練り消しを万引きした住所不定無職の諸星光被告(58)の裁判員裁判が14日、大津地裁で行われた。裁判前の記者会見で、この裁判に参加している6人の裁判員全員が「被告は絶対に死刑」と予告したことから、被告への死刑判決は免れない可能性が高まっている。諸星被告は1月19日午後、草津市の駄菓子屋で店内に置いてあった練り消し(50円相当)をポケットに入れて万引きしようとしていたところを買い物中の小学3年生に見つかり、窃盗の疑いで現行犯逮捕された。取調べに対して被告は「急にムラムラして練り消しを練りたくなった。万引きしても誰にもばれないと思った」と供述。翌2月には身柄を大津地検に送検し、今月14日から公判が始まった。
公判前の記者会見に出席した6人の裁判員は、事件について「被告はたかだか万引き程度なら罰金くらいの微罪で済むだろうと考えているように思われる。今後同様の事件が再発しないように厳罰を持って望む所存だ」と裁判への意気込みを伝えた。「厳罰」について、具体的な内容を記者から問われると、「情状酌量の余地があろうがなかろうが、当然死刑が念頭にある。これは裁判員全員の一致した見解だ。意見を変えるつもりは全くない」と話し、死刑判決を予告した。
裁判員制度について定めた裁判員法では、裁判官3名を含めた合計9人の過半数を得られれば、量刑を課すことができると定められている。今回すでに6人が死刑を支持していることから、このまま裁判が進めば被告に対して死刑判決の出る公算が強い。
法務省の中山幾多郎報道官は、午後の会見で「公平性の点において裁判員制度の趣旨から大きく逸脱するため、裁判員の思想信条を事前に審査することは許されない。今回大変片寄った心情の持ち主が揃ってしまったのは、本当に偶然の出来事で、被告の運が悪かったとしか言えない。個人的にはかわいそうだと思うが、法治主義の精神から被告には死んでもらうしかない」と話した。
裁判員制度には問題点が多いと指摘する声は開始以前から多く聞かれていた。
岡山県で起きた21歳男性が近隣の住民30人を殺害した事件では、検察側が死刑を求刑したのに対し「被告はネコ好き。ネコ好きに悪い人間はいない」との理由から懲役6ヶ月(執行猶予3年)の判決が下された。また、長野県では痴漢の容疑で起訴された男性の被告に対し、裁判員全員が女性であったため、刑法にはない「市中引き回しの上、打ち首獄門」判決が出た。
このように、制度が始まった2009年5月以降、裁判員の意見の影響で今までの裁判では起こりえなかった事例が相次いでいる。裁判員制度に詳しい、京都大学法学部の坂本義太夫教授は「プロの仕事に素人が口を出すと、大抵ろくなことにならない。素人裁判も素人内閣も然り。」と裁判員制度の廃止を訴えた。