Kyoko Shimbun 2020.05.29 News

「ヤッホー!」今年は返事なし やまびこ自粛、感染リスクで これは嘘ニュースです

山彦の年内休業で登山の醍醐味の9割以上が失われる
 今年はヤッホーに答えません――。山彦でつくる全国山彦連合会(JYA)は28日、年内のやまびこを自粛すると発表した。夏山シーズンを前に、やまびこ目当ての登山客に不要不急の来訪を控えてもらうのが目的だ。

 28日に行われたJYAの総会で決議された。登山者が山頂から発した「ヤッホー」などのかけ声に呼応して同じ言葉を返す「やまびこ」は、自然現象だと誤解されることが多いが、実は山中各地に身をひそめる「山彦」と呼ばれる職人が、登山者の声をそっくりまねて返している。登山客へのサービスとして山の管理組合などから受けた依頼をJYAが仲介して、加入する山彦たちに仕事を割り振る仕組みになっている。

 近年の登山ブームで登山客は年々増加傾向だったが、今年は新型コロナウイルスの影響で登山を自粛するよう呼びかける山が増えている。登山自体は「3密」に該当しないものの、限られた居住空間しかない山小屋では十分な感染症対策が難しいためだ。

 登山を控える動きが広がるなか、「やまびこは初心者の登山を煽る」「『ヤッホー』の大声が感染リスクを高める」などの指摘がJYAに多数寄せられたことから、年内のやまびこ自粛を決めた。

 しかし、自粛によって休業を余儀なくされる一部の山彦がJYAに補償を求めたことをきっかけに総会は紛糾。補償に後ろ向きなJYAの姿勢に対して、山彦たちの怒号が会場にこだまするなか、総会は制限時間を理由に幕を閉じた。参加した山彦の1人は「知り合いの海彦(アマビコ)は引く手あまたの大反響なのに、こちらは何を尋ねても返事がない。ただのしかばねのようだ」と話す。

 休業補償を行わない理由について、JYAの富士山彦会長にコメントを求めたが現時点で返答は得られていない。

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<BOOK>山彦

 日本中世史研究の業績で知られ、戦前、東京帝国大学史学科教授として多くの俊秀を育てた平泉澄。戦後の恬淡とした境地をつたえる、その嘉言に満ちた珠玉のエッセイに若干の注を加えた、読みやすい不朽の名著。

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