「ビリギャル」類似本に出版差し止め命令 東京地裁 これは嘘ニュースです
『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(坪田信貴/アスキー・メディアワークス)
『ビリギャル』は中学入学以来全く勉強をしなくなった偏差値30の私立高校2年生・さやかが塾講師・坪田と出会うことで学習意欲に目覚め、1年半で慶應大学SFC総合政策学部に合格するという物語。受験ノウハウ本としてだけではなく、一人の少女のサクセスストーリーとしても注目を集めた。今月1日からは「ビリギャル」のタイトルで映画公開もされている。
今回販売差し止め命令を受けた上海電波有限公司の『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に入学した話』は、地元の公立高校に通う偏差値2の高校2年生・まどかが塾講師・坪井と出会い、ひらがなの読み書きから学び始め、1年間で分数の通分まで習得する物語。最初は「アー、ウー」「ウェヒヒ」しか話せなかったまどかが次第に日本語を習得していく過程は「狼に育てられた少女」以来の感動巨編として一部読書家の間で話題になっていた。発行元によると現在2刷1600部。
裁判で原告は「偏差値が35しか上がっていない」「慶應大学に合格していない」など、パロディである以前にタイトルに誤認が見られると指摘。これに対し被告は「四捨五入すれば40」「まどかは現在セブンイレブン慶應義塾矢上キャンパス店でアルバイトをしていることから「入学した」という表記は誤りではない」とそれぞれ反論した。表紙に掲載した金髪女子高生がビリギャル本人ではないことについての指摘はなかった。
東京地裁は判決で「略称が同じビリギャルになるなど類似性が極めて高く、パロディの域を超えた悪質性が認められる」として、販売差し止めを主張する原告の訴えを認めた。
今回の判決について、発行元である上海電波有限公司は「同じ話を盛るにしても英語と小論文だけの慶應SFCに合格させるより、言葉も話せなかった女子高生を1年でコンビニ店員に育て上げた方が教育者として立派だと思うので映画化のオファーを待ちたい」とのコメントを発表した。