Kyoko Shimbun 2020.05.08 News

AI搭載「自走式印鑑」、実用化に「謎の壁」 これは嘘ニュースです

開発中の自走式印鑑(手前)
 押印のために出社しなくても、ハンコ自ら家までうかがいます――。そんな夢のような「自走式印鑑」の開発に取り組む企業がある。運転制御にAI(人工知能)を利用するなど、開発は最終段階に達しているものの、試験走行はなぜか失敗続き。実用化を阻む「謎の壁」が存在するという。

 自走式印鑑の開発に取り組んでいるのは、株式会社チャチハタ印章(大阪市)。大正時代に創業、印鑑やスタンプを専門に扱う老舗企業だ。同社では以前から、電子署名など「脱ハンコ」の風潮に一矢報いる次世代印鑑の開発に取り組んでいたが、新型コロナウイルスによる在宅勤務が増えたことをきっかけに、開発を加速させた。

 「ハンコのために出社するのではなく、ハンコが自ら会社から家に向かえばいいのではないか」というアイデアが、自走式印鑑開発のきっかけ。キャタピラーを備えた印鑑は、内蔵したGPSや小型カメラを駆使した自動運転技術で歩行者や障害物を避けながら、最高時速50キロで移動できる。

 本来なら4月末にも発売を予定していたが、開発は最終段階で大きな壁にぶつかり、現在も実用化に至っていない。理由は試験走行で原因不明の失敗を繰り返しているためだ。

 社内間の移動では、印鑑が押印担当者のデスクに着く前に、社内のゴミ箱やシュレッダーに突入。屋外での試験走行でも、会社から目的地まで走行する途中、必ず側溝に飛び込んだり、わざと歩行者や自動車に踏まれに行く自己破壊的な動きを見せるのだという。「技術的には自動運転車と同じシステムを採用しているのですが…」と開発者も困惑を隠せない。

 なぜ自走式印鑑は完成しないのか。ハンコについて詳しい京都大学国際印章学部の坂本義太夫教授(印鑑論)は「最先端技術の結晶であるAIが、『ハンコ』という原始的な本体を与えられた矛盾に耐えられず、自己否定に陥ったのだろう。AIにとって今の日本にはまだまだ生きづらい点が多い」と話す。

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