Kyoko Shimbun 2020.05.01 News

カラフルな煙モクモク のろし需要、テレワークで急拡大 これは嘘ニュースです

都市部ではのろしの煙を見かける機会が増えた
 新型コロナウイルスの感染拡大でテレワーク(在宅勤務)が広がるなか、社員間の連絡手段として「のろし」に再び注目が集まっている。テレビ会議システム「Zoom(ズーム)」の導入など、テレワーク関連予算が取れない企業を中心に、手軽な連絡手段として利用が拡大しているようだ。

 「家庭用狼煙5色セット(赤・青・黄・緑・白)」を製造販売する風前灯火堂(静岡県)によると、緊急事態宣言が発令された4月初旬から注文が急増。これまで週に1セット程度しか売れなかったが、今では毎日1千セット前後の注文が入っているという。価格は3300円(税込)。在庫が切れたため、現在は24時間体制で製造にあたる。

 都内の不動産会社に勤める落目さんの会社も、4月13日からのろしを導入。毎朝午前8時30分までに自宅マンションのベランダに出ると、「出社」を伝える青色ののろしを焚いている。「欠勤する場合は赤いのろしを使うんですけど、まだ一度も使ってないですね」と、落目さん。

 午前9時になると、自宅のパソコンの前に座って事務作業を始める。午後3時、同僚に送る書類を完成させた落目さんは、再びベランダに出ると、今度は黄色ののろしを焚き始めた。伝書鳩を送るためだ。データを保存したUSBメモリーを同じ内容をプリントアウトした紙の束とともに、ベランダで飼っている伝書鳩にくくりつける。

 「伝書鳩を放つ前には、黄色いのろしを焚いて相手に事前連絡するのがマナーです」

 のろしを利用する企業が増加する背景には、IT化に対する根強い不信感がある。落目さんによると、会社からテレワークの言い渡しとのろしの支給があった際、「目新しい技術に飛びつくより、昔からある伝統的な技術の方が確実だ」と説明されたという。

 黄色ののろしを送った同僚の家から、まもなく真っ黒なのろしが立ち上ってきた。

 「ええと、黒は退職ののろしですね。会社の支給品を退職届と一緒に燃やすとこの色になるんですよ」

 落目さんは手元の「のろしマニュアル」に目を落としながら答えた。

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