「当たり」付き自動車が人気 インド これは嘘ニュースです
アーナンダ自動車「ガネーシャ」
インド西岸・ムンバイに本社を置くアーナンダ自動車は、業界第9位の中堅メーカー。牛糞を燃料にして動くバスや、両手で運転しながら食べられるカレーを開発するなど、インドの風土に合わせた自動車産業全般に携わっている。
中堅らしいアイデア製品にこだわる同社は、昨年9月、世界で初めての「当たり」付き自動車「ガネーシャ」を発売した。価格は30万ルピー(約54万円)と、やや高価格帯に属する。
ガネーシャのエアバッグにはおよそ20台に1台の割合で「当たり」のくじが入っており、車が衝突した際、開いたエアバッグの中に当たりくじが入っていれば、もう1台ガネーシャがもらえる仕組みになっている。
この「当たって当たろう」キャンペーンを始めた9月以降、ガネーシャの注文が殺到。7台に1台の割合で自然爆発を起こすことから「インディアンルーレット」などとも呼ばれるインドの自動車事情をうまく利用したかたちだ。
だがここに来て問題も生じはじめている。当たりくじは自動車のエアバッグが開いてから24時間以内に最寄のアーナンダ自動車の営業所に持っていかなければ無効になってしまうことから、事故に遭っても病院に行かず、血まみれのまま営業所に駆けつけるドライバーが殺到。中には当たりくじを握りしめたまま、営業所の手前30メートルで事切れるドライバーも現れた。
このような事態を受け、インド政府運輸省も改善を指導したが、同社が「悲運のドライバーを減らすため、当たりくじの数を減らす」と対応策を発表したところ、市民から多くの反発を受けたため、撤回。結果、24時間の有効期限を過ぎてしまっても、営業所に当たりくじを持って行けば、同社が開発した運転しながら食べられるカレー3パックを残念賞として提供するというかたちでまとまった。
自宅前で取材に応じた同社のチャンドラグプタ会長は、ガネーシャの好調について「我々はインド国民の気持ちを最も理解していると自負している」と話した後、ランボルギーニで自宅を後にした。