路上の生態系に異変 コロナ禍で追われる軍手のすみか これは嘘ニュースです
路上での生息域を急拡大させているマスク
調査結果は英生態学誌「エコロジカルエコロジー」2学期準備号に掲載された。千葉電波大の道木洲教授らの研究チームは、2019年6月から22年6月まで、千葉県内にある歩道や車道など200地点で定点観測を行い、路上の生態系がどのように変化するかを調査した。
その結果、3年間で軍手の数がオス、メス共に約70%減少。生息地が大きく縮小したことがわかった。
一方でめざましく繁殖したのが使い捨てマスクだ。同期間中、マスクの繁殖率は約2万%増。調査を開始した19年は大きな変化が見られなかったが、20年以降急速に生息域を拡大。県内200カ所全ての観測地点でマスクの姿を確認した日もあった。
マスクがこれほどまで生息域を拡大させた要因は、新型コロナウイルスの流行だ。年じゅうマスクを身に付ける「新しい生活様式」が定着した結果、マスクは人流に寄生して生息域を拡大。これまで主に作業員に寄生してきた軍手に比べて、より多くの宿主を得たことが路上での繁殖に寄与したとみられる。
路上の生態系は時代につれて変遷してきた。昭和期はガムやタバコの吸い殻など多様性を見せていたが、平成に入るとほぼ絶滅。生き残った軍手が路上を独占するようになった。だが令和の現在、マスクという新たな外敵の出現によって、軍手はそのすみかを追われつつある。
このような変化は、人間の社会活動を反映すると従来考えられてきた。しかし道木教授は論文の中で、このような見方を「人間中心の価値観」として否定。「人間はマスクの乗り物に過ぎない」と主張する。
「マスクはコロナ禍と地球温暖化を相乗的に利用して人間のポイ捨て本能を刺激し、その勢力を拡大している。世界中の路上を真っ白に埋め尽くすまで人間を宿主として利用し続けるだろう」と警鐘を鳴らす。
道木教授によると、路上の多様性を取り戻すカギは「軍手」にあるという。日本固有種である軍手は、タバコやガムのようなマナーによる規制を避けて、路上での繁殖が道徳的に認められている唯一の存在だ。
「健全な生態系を取り戻すため、一人一人がマスクをポイ捨てしないよう自覚しながら、積極的に軍手を落とす利他的な行動を心がけてほしい」と、道木教授は呼びかける。