Kyoko Shimbun 2022.08.19 News

路上の生態系に異変 コロナ禍で追われる軍手のすみか これは嘘ニュースです

路上での生息域を急拡大させているマスク
 路上の落とし物の代表格・軍手に、ここ数年異変が起きている。千葉電波大学理学部の研究チームが行った路上の生態系調査で、軍手の生息地が使い捨てマスクによって急速に侵されている現状が明らかになった。

 調査結果は英生態学誌「エコロジカルエコロジー」2学期準備号に掲載された。千葉電波大の道木洲教授らの研究チームは、2019年6月から22年6月まで、千葉県内にある歩道や車道など200地点で定点観測を行い、路上の生態系がどのように変化するかを調査した。

 その結果、3年間で軍手の数がオス、メス共に約70%減少。生息地が大きく縮小したことがわかった。

 一方でめざましく繁殖したのが使い捨てマスクだ。同期間中、マスクの繁殖率は約2万%増。調査を開始した19年は大きな変化が見られなかったが、20年以降急速に生息域を拡大。県内200カ所全ての観測地点でマスクの姿を確認した日もあった。

 マスクがこれほどまで生息域を拡大させた要因は、新型コロナウイルスの流行だ。年じゅうマスクを身に付ける「新しい生活様式」が定着した結果、マスクは人流に寄生して生息域を拡大。これまで主に作業員に寄生してきた軍手に比べて、より多くの宿主を得たことが路上での繁殖に寄与したとみられる。

 路上の生態系は時代につれて変遷してきた。昭和期はガムやタバコの吸い殻など多様性を見せていたが、平成に入るとほぼ絶滅。生き残った軍手が路上を独占するようになった。だが令和の現在、マスクという新たな外敵の出現によって、軍手はそのすみかを追われつつある。

 このような変化は、人間の社会活動を反映すると従来考えられてきた。しかし道木教授は論文の中で、このような見方を「人間中心の価値観」として否定。「人間はマスクの乗り物に過ぎない」と主張する。

 「マスクはコロナ禍と地球温暖化を相乗的に利用して人間のポイ捨て本能を刺激し、その勢力を拡大している。世界中の路上を真っ白に埋め尽くすまで人間を宿主として利用し続けるだろう」と警鐘を鳴らす。

 道木教授によると、路上の多様性を取り戻すカギは「軍手」にあるという。日本固有種である軍手は、タバコやガムのようなマナーによる規制を避けて、路上での繁殖が道徳的に認められている唯一の存在だ。

 「健全な生態系を取り戻すため、一人一人がマスクをポイ捨てしないよう自覚しながら、積極的に軍手を落とす利他的な行動を心がけてほしい」と、道木教授は呼びかける。

新しいアプリで記事を読む

App Storeからダウンロード Google Playからダウンロード

虚構新聞友の会

本紙友の会へ入会すると、会員専用掲示板に書き込みができます。

おすすめリンク

<BOOK>利己的な遺伝子 40周年記念版

私たちはなぜ、生き延びようと必死になり、恋をし、争うのか?本書で著者は、動物や人間の社会で見られる、親子間の対立や保護行為、夫婦間の争い、攻撃やなわばり行動などがなぜ進化したかを、遺伝子の視点から解き明かす。自らのコピーを増やすことを最優先にする遺伝子は、いかに生物を操るのか?生物観を根底から揺るがし、科学の世界に地殻変動をもたらした本書は、1976年の初版刊行以来、分野を超えて多大な影響を及ぼし続けている古典的名著である。

社主ピックアップ

科学

人気記事ランキング

今月の一冊

「今月の一冊」バックナンバー

虚構新聞社のRSS/SNS

虚構新聞のウェブサービス

虚構新聞社の本

注目コンテンツ