あの感動を何度でも 「第25回 卒業式:||」に元卒業生2千人 これは嘘ニュースです
東京都第3ホールで行われた「第25回 卒業式:||」
人生で体験する回数が限られている卒業式の感動を懐かしむことを目的に1996年、主催者の網野さんの呼びかけで始まった。
当初は十数人ほどしか集まらなかったが、口コミを通じて次第に広がり、今年は過去最高の2015人が参加。第1回から毎年参加しているという学生服姿の男性(48)は「分かっているのに、『おめでとう』と拍手で見送られる最後の場面で毎回泣いてしまいます。ここは自分の居場所と言うか、生きがいそのものですね」と笑顔で語った。
メインイベントとなる卒業証書授与では、参加者一人一人の名前が読み上げられると、元気よく返事をする人や、ふざけて返事をする人など、適度に張り詰めた緊張感と和やかさの入り混じったムードが会場を包んでいた。「学生時代の失敗を疑似的に取り返そうする人も多いようです」と、網野さんは話す。
参加者による「仰げば尊し」「蛍の光」など定番の卒業ソングや、「桜流し」など桜をテーマにした人気曲の合唱の後、在校生代表役スタッフによる送辞、元卒業生代表による答辞がそれぞれ読まれ、本物の卒業式さながらの光景が繰り広げられた。
祝電披露後に始まった校長式辞では、25年間の歴史で初めて網野さんが登壇。これまでと異なる演出に会場がどよめく中、網野さんは元卒業生へのお祝いの言葉、来賓役や保護者役のスタッフに感謝を述べた後、「今回をもって卒業式を終了します」と電撃発表した。
「このイベントを続けたせいで、いつまでも学生気分から抜けだせない大人が増えてしまったことに責任を感じています。みなさんはもう学生ではありません。いつまでも過去にすがりついていないで、そろそろ卒業式から卒業してはどうですか」と、2千人を前に穏やかに語りかけると、会場は水を打ったように静まり返っていた。