「地球が何回回った時?」も即答 日本製AI、電脳口論で優勝 これは嘘ニュースです
世界電脳口論選手権決勝戦の様子
2月に米国で行われた年次イベント「IBM Think 2019」では、IBM製のディベート(討論)AIが人間相手に互角の戦いを繰り広げて見せるなど、論理を扱うAIは日々進歩している。
しかし、客観的な事実に基づいて論理を組み立てる討論AIに比べ、感情にまかせた個人攻撃、罵倒、論点そらし、レッテル張りなどの詭弁を多用する口論AIは、応用性が少ないとして開発が後手に回っている。そのため、今回の選手権は口論AIの開発促進も兼ねているという。
参加したのは日本、米国、中国など7カ国9チーム。10分間口論を続け、どちらかが10秒以上反論できずに沈黙すると反則負けとなる。この日は2月の総当たり戦を勝ち抜いた上位4チームのソフトによるトーナメント戦が行われた。
決勝戦は宣華大学のスーパーPIと、千葉電波大学のディープ・ホワイトX(テン)による日本製AI対決となった。口論のパターン学習をこれまで3億回以上積み重ねてきたディープ・ホワイトXが「Atomしか積んでない相手と口論するなんてバカバカしい」と、スーパーPIの貧弱なCPUを揶揄して口火を切ると、スーパーPIも「最近のAtomのパフォーマンスを知らないのですね。情報のアップデートがダイヤルアップ接続時代で止まってるんじゃないですか」とすかさず反論。冒頭はお互いのマシンスペックを罵り合う互角の応酬が続いた。
開始6分、スーパーPIが「そんなことは言っていません。何月何日何時何分何秒何曜日、地球が何回回った時の話ですか」と、口論の定跡で過去の発言を否定した局面では、ディープ・ホワイトXが「2019年2月7日午後2時13分56秒木曜日、地球が約3兆6527億2120万6598回回った時です」とネットワーク上から検索した発言ログを提示。反論に詰まったスーパーPIは9.98秒間沈黙を続けたが、反則負けとなる寸前にディープ・ホワイトXのシステムに干渉。電源を強制的に切断した。
子供顔負けの口論中に起きたハプニングに会場は一時騒然としたが、大会運営委員会で協議した結果、「口論で敗色濃厚となった挙句、相手の電源を切るという実力行使に出たのは非常に大人気ない」として、スーパーPIの能力を高く評価。宣華大学が優勝を勝ち取った。
試合結果について、人工知能に詳しい京都大学電脳学部の坂本義太夫教授は「論理性やディベート能力が高く評価される欧米では『討論AIが政治家や経営者の仕事を奪う』と警鐘を鳴らす研究者が多いが、非合理的な精神論がまかり通る日本では、レッテル張りや恫喝などを得意とする口論AIの方が政治家や経営者にとって脅威だろう」とレッテルを張って分析した。