「記憶にない」でも安心 記憶復元ソフト開発 千葉電波大 これは嘘ニュースです
記憶復元のメカニズム
記憶リカバリーソフト「メモリカバリ」は、人間の脳内イメージを読み取って映像化するAI技術を応用した。千葉電波大が経済産業省の支援の下で研究を進めてきた産学官連携プロジェクトで、ソフトウェアとして完成させたのは世界初だという。
メモリカバリは、まず不要な情報だと判断した脳内の「ごみ箱」とも言える潜在意識から拾い出した記憶イメージの断片をAIによって画像処理。次にディスプレイに映し出された画像を本人に見せて、再度視覚から脳にイメージを送り込むことで顕在意識に変化させる。
この顕在化したイメージを再び拾い上げると、最初のものよりはっきりした輪郭になる。これらの「再意識化」作業を繰り返してイメージに肉付けしていくことで、おぼろげだった記憶をはっきりとよみがえらせる仕組みだ。
同大が男性にある日の行動を思い出してもらうよう行った実験では、最初に「ごみ箱」から抽出したイメージは黒く滲んだしみのようなものだったが、再意識化を繰り返すことで、それが文字だと分かり、さらにその文字が名刺に書かれた名前であることまで復元することができた。
最終的に男性はその名刺を手掛かりに、来客と会っていたことを思い出したという。復旧までにかかった時間は2時間。普通に思い出せば1年以上かかるところを4千分の1以上の速さで復元した。
研究を主導した千葉電波大学の深見学教授は「記憶を整理するメカニズムは、実はコンピュータとよく似ており、ドリルで脳に穴を開けるなど物理的に消去しない限り、どんな記憶でも断片は必ず残っている」と説明する。今後は、パターン学習を繰り返して画像の精度を上げるとともに、記憶イメージが明確なうちに、抽出した画像を外部記憶装置に保存しておく「復元ポイント」を定期的に自動作成する機能も追加したうえで商品化を目指したいという。
「ソフトが普及すれば政治家や官僚が使いがちな『記憶にない』という説明や、『言った/言わない』『会った/会っていない』のような不毛な水掛け論もなくなるだろう。日常生活だけでなく政治の効率化も期待できる」と深見教授は話す。
経済産業省は同日会見を開き、プロジェクトへの支援を打ち切ると発表した。
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<BOOK>記憶はウソをつく
「記憶とは、本当に過去にあったもの」。普通は、そう信じて疑わない。けれど最近の研究では、記憶が必ずしも真実ではないことが明らかになってきている。記憶は、後で入ってきた情報や、現在の心理状態の影響を受けて刻々と姿を変えてしまうことがある、というのだ。そう、あなたの記憶は、後になって作られたものかもしれないのだ。自分の記憶が書き換え可能であるなら、記憶で思い出す過去が本当にあったものなのか、誰もが不安になるだろう。裁判での自白や目撃証言も、人間の記憶が元になっている。記憶があてにならないとしたら、どう真実を見極めたらいいのだろうか。
本書は、そうした記憶のウソについて、最新の研究成果に基づき、さまざまな角度から検証したものである。