「秩序乱れた」 サル山SNS、2週間で中止に これは嘘ニュースです
大量のナイスを集めた「下剋上」写真
実証実験「SSS(ソーシャルサル山ネットワークシステム)」は、全国5カ所のサル山をネットワークでつないでニホンザル同士の交流を促す試み。サル山に設置した100インチの大型ディスプレイに、他の動物園のサル山の様子がリアルタイムで映し出されるほか、3分ごとに自動撮影されるサル山の写真がタイムラインに投稿される仕組みだ。
運用当日はサルが全く興味を示さなかったことから、ツイッターやフェイスブックなどのSNSと同じように、気に入った画像が表示されたときに端末横の「ナイス」ボタンを押すと、相手側のサル山にエサが投入される仕掛けを導入したところ、ボタンを押せばエサという実利に結びつくことに気付き、3日目以降、SSSの利用が活発化した。
飼育員によると、利用の様子が大きく変わったのは5日目。きっかけは滋賀県奥びわこ動物園のサル山で、序列下位のサルがボスのいない隙に山頂に立った「下剋上」の写真が大量のナイスを集め、食べきれないほどのエサが投入されたことだった。
過激な行動が実利に結び付くことに気付いたサルが増え始めると、真冬に氷水を浴びたり、見栄えのするエサをカメラの前に掲げて撮影した後、食べずに投げ捨てたりする異常行動が急増。また、他のサルに覆いかぶさる「マウンティング」行動もなぜか多く見られるようになった。
7日目には、エサを投入する仕組みを中断して鎮静化を図ったが、ナイス集めが自己目的化したためか、行動に変化は見られず、14日目には、SSSを設置していない全国の動物園でも、ニホンザルが来園者に向けて糞を投げつけたり、他の動物を威嚇したりするなどの異常行動を始めたことから、接触のない同種にまで行動が伝播する「百匹目の猿現象」が生じたと判断。同日端末を撤去して運用を中止した。現在は全てのサル山で秩序を取り戻しているという。
「サルの交流を深める楽しいコミュニティを作るつもりだったのに、どこで道を誤ったのか……」と担当者はため息を漏らす。