「絶対安全」うたう牛丼チェーン・松田家が倒産 これは嘘ニュースです
虫刺され薬「ウナコーワ」で煮込んだ「ウナ丼」
牛丼チェーン「松田家」は、創業120年の老舗(しにせ)ながら、続々と新メニューを展開するなど、業界の異端児として知られていた。中でも松田家きっての人気メニュー「肉丼」(120円)は、何の動物の肉を使っているのかを一切明らかにしない代わりに、他社の牛丼の半額以下で提供するというオリジナリティと、来店するたびに肉の味が変わるスリルが一部の肉マニアから高く評価されていた。
また、2009年には他社のうな丼メニューに対抗し、虫刺され薬「ウナコーワ」で煮込んだ「ウナ丼」(写真)と、ソフトクリームのコーンにたっぷりとムヒを盛った「ムヒソフト」を発表。まさかの発想に業界関係者の度肝を抜いたが、販売不振のため発売3日で中止となった。
昨年は業界トップのゼンショーが運営する「すき家」が強盗に襲われる事件が続いたことを受け、「お客様の身の安全が第一」キャンペーンを掲げ、全国830店舗全てを防犯仕様に改装。広島型原爆10発分に耐えられる特殊装甲で外壁を覆ったほか、万が一強盗が押し入っても店員一人で対抗できるよう、アルバイトを含む全ての店員に2週間のフランス傭兵式軍事訓練を義務付けた。
これらの対応策が功を奏し、松田家は昨年牛丼チェーンで唯一強盗に襲われなかった優良店舗として、警察庁から表彰を受けた。だが一方、これら防犯対策のための設備投資は膨大な負債を抱えることにもつながった。今年は起死回生の打開策として創業以来初めて「牛丼」を販売。だが、負債を一気に解消するために設定した1杯2580円という価格が仇となり、販売も振るわなかった。
13日に行われた記者会見で同社の松田浩一郎社長は「お客様の安全を第一に考えすぎて、牛丼屋であることをすっかり忘れていた」と反省の弁を述べた。
その一方、すき家の広報担当者は同日、警察庁からの異例の防犯指導に対して「経営を度外視してまで防犯に取り組む必要があるのか考えたい」と発言したことから、消費者の間では「事実上の強盗容認ではないか」「客の安全をないがしろにしている」など、現在物議を醸している。
牛丼業界に詳しい京都大学食品衛生学部の坂本義太夫教授は「防犯対策はどうでもいいが、すき家はパックから出しただけの円盤型ねぎとろを何とかするべきだ。店内の片隅で一人円盤をほぐしていると何だか泣きたいほどみじめな気分になる」と自身の経験を語った。