Kyoko Shimbun 2021.05.13 News

希望の炎、無人でつなぐ 「自走聖火」2種を開発 これは嘘ニュースです

自走聖火 ドローン型(左)と探査機型(右)
 新型コロナウイルスの感染拡大によって全国各地で規模縮小が相次いでいる聖火リレーで、聖火ランナーの代わりに聖火を運ぶ「自走聖火」を滋賀県の企業が開発した。「人同士が接触せず安全に聖火の炎をつなげられる」として各自治体に採用を呼びかけている。

 自動車部品を製造する株式会社浮汽製作所が開発した自走聖火は、探査機型とドローン型の2種類。火星探査機から着想を得た探査機型は自動運転技術によってどんな悪路でも安定して走行できる。ドローン型は障害物がない高度約300メートルの空中を最短距離で目的地まで飛行できるのが特徴だ。開発担当の守山さんは「用途に応じて使い分けてもらいたい」と話す。

 3月に福島県を出発した聖火は、現在も全国各地を巡回しているが、感染状況が厳しい自治体はランナーや見物客への拡大を懸念して、公園内のみでの開催に変更したり、完全中止を決めたりしている。著名人のランナー辞退も相次いだ。「人を集めるイベントに集まった人をどうやって追い払うか」という矛盾した対応策を練るのに頭を悩ませる。

 感染対策に気遣うあまり、負のマッチポンプのような聖火リレーが行われている様子に、守山さんは「いっそ聖火自身が走ればいいのではないか」と考え、開発にとりかかった。

 当初は聖火ランナーに見立てた二足歩行ロボットを使おうとしたが動作が不安定だったため断念。「ロボット技術の蓄積が不十分で見送らざるを得なかった。ワクチン開発と同じく基礎研究への支援を国が怠ってきたツケだ」と憤る。

 自走聖火が採用されるかどうかは、今後の感染状況の推移と大会委員会の判断次第だが、要請があった場合、すぐに数百台手配できる態勢を整えた。「無観客無選手での無人開催になっても、自走聖火を使えば聖火台への点火だけは達成できる。新型コロナウイルスに打ち勝った証を手に入れるのは人類ではなくロボットになるのではないか」と守山さんは期待を寄せる。

新しいアプリで記事を読む

App Storeからダウンロード Google Playからダウンロード

虚構新聞友の会

本紙友の会へ入会すると、会員専用掲示板に書き込みができます。

おすすめリンク

<BOOK>聖火

 第一次大戦後の英国上流家庭。事故で半身不随となりながらも快活にふるまう長男が、ある朝、謎の死を遂げる。美しい妻、ハンサムな弟、謹厳な母、主治医、看護婦らが、真相を求めて語り合う。他殺か、自殺か。動機、方法は? 推理小説仕立ての戯曲は、人生と愛の真実を巡り急転する。二十世紀随一の物語作者が渾身の力を注ぎ、挑んだ問題劇。今なおイギリスで上演され続ける、普遍的名作。

社主ピックアップ

科学

人気記事ランキング

今月の一冊

「今月の一冊」バックナンバー

虚構新聞社のRSS/SNS

虚構新聞のウェブサービス

虚構新聞社の本

注目コンテンツ