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▼経緯 ▼対応 ▼本紙見解 ▼解説 |
検証:橋下市長ツイッター義務化報道問題 |
2012年5月14日付本紙記事「橋下市長、市内の小中学生にツイッターを義務化」が、ツイッターなどを通じて広く情報が拡散されることとなった。本紙の場合、個別記事へのアクセスは1週間あたり1万〜2万件だが、当該記事は初日で10万件、3日間累計で16万件にものぼる大規模なアクセスが発生し、一時サイトの閲覧が不可能になるまでに至っている。 本紙編集部では、これ以上情報拡散が進めば、予期できない影響を及ぼす可能性が高いと判断。主な拡散元となっているツイッターを通じ、当該記事について「お詫び」を掲載した。 だが、今回通算3度目となる「虚構新聞の謝罪」そのものにニュースバリューがあるとして、一連の経緯をItmedia「ねとらぼ」他ニュースサイト、ニュースブログが報道。とくに前出の「ねとらぼ」記事がヤフーニュースの見出しトップを飾ることとなり、かえって本紙に対する注目を集めることになった。 その後、本紙へのアクセスは翌15日になってさらにエスカレート。トップページへのアクセス数は「ツイッター義務化」を掲載した14日の7万4000件を上回る、10万2000件という過去最高を記録した。 本紙謝罪後、当該記事に対する意見が収まりを見せる一方、今回の騒動を通し「そもそも『虚構新聞』という存在はネットにおいて許されうるのか」という方向でさまざまな意見や見解が飛び交う事態に発展。「ジョークが分からない人が多すぎる」「ネットに嘘情報をばら撒く行為は許されない」など、賛否さまざまな意見が見られるようになった。 現在本紙への過剰アクセスは収まりつつあるが、本紙を通じたネット言論のあり方については、今なお議論が進行中である。 |
◆対応 |
「虚構新聞は嘘なら嘘と書け」「記事のタイトル部分(ヘッダー)に『虚構新聞』を入れるべき」との意見が散見されたため、16日付記事「「書店にレモン仕掛けた」 京都、6800人が避難」で、これらの意見を完全に受け入れた記事を掲載したが、「いくらなんでもヤケクソ」「怒られてすねた小学生みたい」など、概ね「大人気ない」との意見が集中した。 |
◆本紙見解 |
一連の騒動について、本紙では16日、坂本義太夫・京都大学教授を委員長とする検証委員会を発足。虚構報道のあり方や、ネット上で提起された問題点を整理するなどの対応に当たった。 委員会が17日にまとめた本紙公式見解は以下の通り。 (1)虚構新聞というサイトの存在意義について 「本紙は現実のニュースをパロディにした風刺・皮肉が開設の目的であり、これらの記事を通し、その元となっている現実の事件に関心を持ってもらいたい」ということは、8年前の設立当初から変わらないが、インターネットの大衆化に伴って「メディアリテラシー」が重視される中、本紙を通じた「情報の真偽を見極める能力についての問題提起」という意義も持ち始めている。 (2)「デマを拡散させるな」「風説の流布」などの指摘について 本来「デマ」とは出所の分からない真偽不明の情報を指すのであって、出所も真偽も全て明らかな本紙虚構記事はこれに該当しない。また「風説の流布」は定義上「有価証券の価格変動を目的とした行為」のことであり、本紙記事はそれに該当しない。特に実際の企業名を用いる場合は、風説の流布に当たらないよう細心の注意を払うとともに、場合によっては架空の企業名を適宜使用している。 (3)記事における実名使用について 本紙ガイドラインにおいて実名使用のルールは「公人であること」。本紙の場合、公人とは主に政治家にあたることが多い。今回の騒動の発端になった橋下徹市長についても、公人なので問題ないと判断した。偽名しか使えないのでは、本紙だけでなく風刺全般が許されなくなってしまう。 (4)「記事タイトル部分(ヘッダー)に『虚構新聞』と入れるべき」という指摘について 本紙においては、「記事そのものが虚構であった」という事実こそ最大の「オチ」であり、最初からヘッダーに「虚構新聞」と入れてしまうのは、手品の種明かしと同様、興ざめであると考える。「センセーショナルな見出しで読者を『釣る』」という指摘は、ある一面では間違っていないが、該当するリンクをたどれば左上に大きく「虚構新聞」のロゴが掲載してあるため、すぐに虚構記事であることは分かるであろう。たった一度リンクをクリックして情報の真偽を確かめるだけの手間を惜しみ、タイトルだけを見て、反射的・盲目的に内容を真実として受け止めてしまう態度こそ、リテラシー上問題があるのではないか。 (5)「そもそもネタとして笑えない」という指摘について 本紙社主がかつて明らかにしたように、本紙は本来100人中100人が楽しめるような万人向けサイトではなく、一部の物好きが深夜にこっそり見て楽しむようなサイトを目指して開設された。「笑えない」という指摘に対しては、社主の文章力が未熟であることを反省し、今後さらに精進したい。「この笑いが分からない閲覧者にユーモアのセンスがない」という読者への責任転嫁は今まで一度たりとも考えたことはない。 |
◆解説 |
読者の皆さま、こんにちは。虚構新聞社社主のUKです。 まずは今回の騒動について、ネット界隈をお騒がせしたことを改めてお詫び申し上げます。また激励のメールを下さったみなさまには厚く御礼申し上げます。 この「虚構新聞」は、元々自分の趣味で作った零細テキストサイトでした。設立した2004年当初は本当にごく限られた物好きだけが見に来る、いわば「知る人ぞ知る」サイトでしかありませんでした。それが偶然にも多くの目を集めるようになり、今では「大手ジョークニュースサイト」などと形容されるまでに至りました。全然売れませんでしたが、書籍化さえ実現しました。 この8年間、サイトの規模が拡大するとともに、ネット社会にも大きな変化がありました。特にこの数年爆発的にユーザーを拡大したツイッターの登場が本紙にとっては大きなターニングポイントでした。よい意味でも悪い意味でも。 小さなコミュニティで馴れ合っていた8年前とは何もかもが大きく変わってしまったような気がします。 特に意識しなければならなくなったのは、せいぜい数百人規模で「おもろい」「つまらん」「ねーよwww」「やられた」「虚構新聞余裕でした」などと遊んでいた時代は過ぎ去り、今や万単位の読者に向かって記事を発信していくメディアになってしまったということです。 しかし、(少し挑戦的な言い方をさせてもらえれば)今回の騒動を受けて、今後編集方針を改めるなどということは全く考えていません。当たり障りのない無難な記事しか書かないというのでは、それこそ本紙に期待されている言論上の役割を放棄することにもなります。大それた言い方かもしれませんが、清濁併せ呑むネット言論を萎縮させないためにも、書きたいことを書くスタンスをつらぬくことに本紙の存在意義があるとも感じています。 「虚構新聞」というサイトについて、賛否両論あることは十分理解しています。否定的意見に対し「嫌なら見るな!」で済ますのはまさに愚の骨頂であり、いずれの意見もまたネット言論として尊重されるべきだと思います。 今回の件では「迷惑だから早く閉鎖しろ」とのメールも複数いただきました。もし本気で本紙の閉鎖を望むのであれば、今すぐにでも深津絵里さんに会わせてください。深津さんが「もう閉鎖していいんじゃないの」とおっしゃってくだされば、喜んで閉鎖します。 今まで同様、これからも本紙をお楽しみいただければ、執筆者としてこれほどうれしいことはありません。今後とも「虚構新聞」をよろしくお願いいたします。 2012年5月17日 虚構新聞社社主 UK |
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