Kyoko Shimbun 2018.05.29 News

「感情絵文字も個人情報」 無表情フィルター導入提言 これは嘘ニュースです

ポーカーフェイスフィルター
 絵文字の国際標準化団体「AMG」は28日、感情を示す表情の絵文字を原則無表情で表示する「ポーカーフェイスフィルター」を、デジタル端末に標準搭載するようIT企業各社に提言した。許可した相手にのみ喜怒哀楽の絵文字を見せることで、利用者の内心の自由を企業から保護することが目的だ。

 利用者はフィルターによって、SNSやメールで使う喜怒哀楽の絵文字を公開する範囲を細かく設定できる。一部の許可した相手以外には全て無表情で表示されるほか、企業にも無表情絵文字を個人情報として収集しないよう要請する。

 フィルター機能を要請した背景には、ネットサービスとプライバシーをめぐる最近の情勢の変化がある。これまでネット企業は、利用者の検索・閲覧履歴、性別、住所、学歴など私的データを収集、利用することで、広告や販売などのビジネスに結び付けてきた。

 だが今年、不正に取得されたフェイスブックの個人データ約8700万人分が選挙活動に利用された疑惑が浮上したことをきっかけに、世界的なフェイスブック離れが加速。また25日からは、EU28カ国で一般データ保護規則(GDPR)が施行され、EU圏内での個人データ管理に関する規定が厳格化された。GDPRに違反した場合、巨額の制裁金が課せられる可能性もある。

 利便性と引き換えに企業に差し出していた詳細な個人データを改めて保護しようという動きが広がる中、AMGは、喜怒哀楽の絵文字もまた内心を表現する個人情報としてデータ保護の対象になると規定した。AMGがまとめた提言書は「現実世界では心にどんな感情を抱いていようと、公衆の面前でむやみに表にさらけ出さないのと同様だ」と指摘している。

 個人情報に詳しい京都大学仏教学部の坂本義太夫教授(涅槃論)は「フィルターを使うことで無表情な絵文字が広告データとして意味をなさなくなるように、利用者本人もまた喜怒哀楽や物欲を捨て、無我の境地に達すれば、自ずとウェブ広告に商品は表示されなくなるだろう」と述べる。

 そう諭すように語りかける教授の後ろのディスプレイには、楽天スーパーポイント還元セールのバナー広告が激しく点滅を繰り返していた。

新しいアプリで記事を読む

App Storeからダウンロード Google Playからダウンロード

虚構新聞友の会

本紙友の会へ入会すると、会員専用掲示板に書き込みができます。

おすすめリンク

<BOOK>超監視社会: 私たちのデータはどこまで見られているのか?

 スマホの履歴やオンラインでの購買履歴、グーグルでの検索、フェイスブックの利用だけで、あなたの性癖はバレている――。すべてがネットにつながれる時代、詳細な個人情報は巨大企業が握り、データは国家による個人の監強化を促し、私たちは超監視社会とも呼ぶべき社会を生きている。コンピュータセキュリティの専門家がネットの向こう側から見たこの社会の危うさに警鐘を鳴らす。何気ないネット、スマホ利用から想像を超える情報監視が進む実態を赤裸々に描いた衝撃の一冊。

社主ピックアップ

科学

人気記事ランキング

今月の一冊

「今月の一冊」バックナンバー

虚構新聞社のRSS/SNS

虚構新聞のウェブサービス

虚構新聞社の本

注目コンテンツ