Kyoko Shimbun 2019.01.18 News

「ジョン・ケージ「4分33秒」トリビュート盤発売が決定」についてお詫び

 2015年10月14日付記事「ジョン・ケージ「4分33秒」トリビュート盤発売が決定」につきまして、英国のレコードレーベル「ミュート・レコード」が同様の趣旨のトリビュート盤「STUMM433」を19年5月に発売する予定だということがわかりました。虚構世界の現実を伝えることを目的とする本紙におきまして、記事が一部現実化してしまったことを、関係者と読者のみなさまに深くおわびいたします。

 米情報誌「ローリング・ストーン」(ウェブ版)の16日付記事によると、「STUMM433」は、英国のレコードレーベル「ミュート・レコード」が設立40周年のために企画した「MUTE4.0(1978 > TOMORROW)」の一環として発売するアルバムで、デペッシュ・モードやニュー・オーダーなど同レーベルの著名なアーティスト50組以上が参加すると伝えています。また、その第1弾としてスロベニアのバンド「ライバッハ」による「4分33秒」の映像を公開しています。


▲「ライバッハ」による「4分33秒」(YouTubeより)



 報道後、「現実の出来事を伝えた誤報ではないか」との問い合わせが本紙編集部に複数寄せられたため、検討を進めた結果、「誤報とせざるを得ない」との結論に達しました。

 ジョン・ケージの「4分33秒」のカバーアルバムについては、読者から「2010年12月にリミックス盤「ケイジ・アゲインスト・ザ・マシーン」が発売されている」という指摘がありましたが、本紙記事でお伝えした「各国の著名なアーティストが独自の解釈を交えて様々な「4分33秒」を奏でる」という内容には当たらないため、誤報ではないと判断していました。



▲「ケイジ・アゲインスト・ザ・マシーン」


 しかし、今回の「STUMM433」については(1)創始者のダニエル・ミラー氏が「ミュートのアーティストがそれぞれ独自の解釈で演奏するという考え(the idea of every Mute artist doing their own interpretation of the piece)を思いついた」と語るコンセプトが本紙記事の「各国の著名なアーティストが独自の解釈を交えて様々な「4分33秒」を奏でる」と完全に一致している、(2)ミラー氏が「『4分33秒』は私の音楽人生の中で重要かつ刺激を受けた楽曲として存在し続けている」というコメントが、敬意や称賛のために作られる「トリビュート」の条件を完全に満たしているという2点が編集部内で特に問題視されました。

 これらの状況から総合的に判断した結果、「ジョン・ケージ「4分33秒」トリビュート盤発売決定」という見出しを含めて、相当程度に誤報と判断せざるを得ないとの結論に達しました。

◇  ◇  ◇


 2017年の「日本の「謙虚」、海外アピールに200億円計上」の誤報以後、本紙では記事のチェック体制をさらに強化し、特にフェイクニュースが社会問題となりつつあった16年後半以降はこれまで以上に、現実と適切な距離を取った虚構記事の配信に努めてきました。

 しかし、当該記事は3年以上前の配信とは言え、将来記事の内容に誤りが生じる可能性が事前に予見できなかった点において、当時の編集部内で記事のチェック体制が不十分であった点は素直に認めなければなりません。言論機関として痛恨の極みです。

 当該記事を執筆した社主UKは、編集部の聞き取りに対し「可能性としてはあり得ることは自覚していたが、現実問題として、著名アーティストを起用しておいて、実際には終始無音か雑音しか流れない『4分33秒』のトリビュート盤など、採算性の問題から誰も作らないだろうと思っていた。ブレグジット以降、イギリス人はどうかしてしまっているのではないか」と説明しました。

 再発防止策として、今後配信する記事のチェック体制を強化するだけでなく、これまで15年間にわたって配信してきた過去の記事についても誤報に当たるものが含まれていないか確認作業に当たる予定です。

 記事の発表から3年以上が経過していることも踏まえ、編集部では執筆を担当した社主UKに対し、明日19日から本社ビル地下3階地下牢拘留2日間(おやつ抜き)の処分を言い渡しました。なお十分なバックアップ態勢が整っているため、処分中も記事執筆及びサイト運営に影響はありません。

 日ごろ本紙を信頼してくださっている読者のみなさまにおかれましては、この度の誤報でご迷惑おかけしたことを改めておわびします。(編集部)


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