Kyoko Shimbun 2013.11.19 News

虚構新聞デジタル:本紙記事「日本ユニセフ、寄付金の流れ透明化へ」についてご報告

 本紙2013年11月18日付記事「日本ユニセフ、寄付金の流れ透明化へ」におきまして、同日午後公益財団法人日本ユニセフ協会から「厳重抗議と記事の即時削除」を求めるメールが届いたため、本紙では当該記事を削除する対応を取りました。

 詳細はすでにネット各所で報じられている通りですが、まずは多くの読者のみなさまをお騒がせしたことについて、この場にてお詫び申し上げます。

 本紙編集部では記事削除後まもなく、緊急の検討会議を招集し、事態の把握に努めるとともに、記事掲載から削除に至る経緯について聞き取り調査を進めてきました。詳しい内容は以下の通りです。


<概要>

 11月18日 8:00 「日本ユニセフ、寄付金の流れ透明化へ」を配信

 11月18日 14:23 日本ユニセフ協会協会から当該記事への抗議と削除要請のメールが届く

 11月18日 14:31 上記要請に従い、当該記事を削除

 11月19日 08:00 削除に至る経緯を掲載


<聞き取り調査結果>

 当該記事の掲載と削除について、記事執筆を担当した社主UKへの聞き取り調査を行いました。判明した事実は以下の通りです。

・記事掲載の動機

 「『新聞媒体として時事に乗っかった』と言ってしまうと身も蓋もないが、今月14日に元2ちゃんねる管理人の西村氏が公開質問状をブログに掲載したこと、また先日フィリピンを襲った台風被害についての話題が続いていたことから、『募金』をテーマにした記事を執筆しようと思った」

・記事の狙い

 「以前から指摘されていることではあるが、日本ユニセフ協会(以下協会)の活動について『募金のための募金になっていないだろうか』という疑念があった。特に協会大使を務めているアグネス・チャンさんについては、「豪邸に住んでいる」といった妬みや人種国籍にかかる差別意識むき出しの低レベルな批判を差し置いても、健康食品『五色霊芝』を高額で販売したことについて大槻義彦教授から『霊感商法』と指摘されたほか、お世辞にも優れているとは言えないネット対応など、慈善事業に携わる協会の顔として適格なのか疑問に思う部分がないわけではない」

 「記事の流れとしては、『不透明だと批判される協会が透明化を図るものの、それはビルを全面ガラス張りにすることだった』という虚構に基づいたボケ(図1)に対し、読者から『透明にするのはそっちじゃないだろ』というツッコミを待つオーソドックスな展開。おもしろいかおもしろくないかは読者にゆだねることなので、ジョークの出来栄えについてはここで自己論評しない。なお、この記事に限らず本紙について『笑えない、つまらないから許せない』というのはひどく主観的な意見であるように思う」

(図1・ボケ)

・掲載記事が及ぼす影響についての配慮

 「協会の活動について、その寄付金の流れや使途に不透明な部分が多いことはかなり前から指摘されていたが(【参照記事】)、そのような事情を知らない読者のため、記事前半部はこれまでの論点整理として事実関係をまとめた(図2)。また執筆に当たっては協会批判派だけでなく、BLOGOSなどに掲載された協会擁護派の意見も大いに参照した。ネットでの批判を受け、最近は寄付金の使途が比較的オープンになったことも知っている」

(図2・論点整理)

 「最も批判の的とされる寄付金の『中抜き』あるいは『ピンハネ』については、組織として活動する以上、無償でやっていくことが不可能なのは十分に理解できることなので、記事でも『子どもがペットボトルにためて送り付けてきた大量の1円玉や、1つ1円にもならないペットボトルのふたを数える手間などを考えると、無償のボランティアとして継続的に活動していくのは難しい』というかたちで協会側の立場を尊重した紹介をした。ちなみに協会ではペットボトルのふたを集める活動は行っていないが、ボランティア活動には金額に見合わぬ労力が伴うことを分かりやすくするための事例として紹介した。この種のピンハネ批判に関しては、協会の主張の方に分があると思う

 【参照記事】:「デマに惑わされないで」アグネス・チャンがユニセフ協会への中傷に反論


・協会から送られたメールの内容

 「そのまま転載してよいものか分からないので、重要な部分だけ抜き出すと、『当協会ならびにユニセフや各国のユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)、また、協力者の方々に対する信頼を失墜させかねない内容となっています』という内容だった。具体的に記事のどの部分が信頼を失墜させかねない内容だったのかについて、個別の指摘はなかった。また誤った憶測を広げないために付け加えておくと、本文に訴訟をちらつかせるような文言は含まれていない」

・記事削除に踏み切った理由

 「記事のどの部分が信頼失墜につながるかについて協会側に問い合わせることもできたが、本紙のような些末な存在にこれ以上お手を煩わせるのは、協会とその活動費を提供している募金者に申し訳ないと思ったので、指示通り即時削除をおこなった。ページそのものを削除してもよかったが、読者への説明責任とYahoo!のフナッシー2倍募金の紹介を継続するため、ページは残したまま本文だけを削除し『この記事は日本ユニセフ協会からの厳重な抗議により削除されました。』の文言を添えた。皮肉な話だが、『今回の騒動のおかげで2倍募金の存在を知ってフィリピン赤十字社に寄付をした』という読者の声が少なからずあった」

 【参考資料】:東京スポーツの記事信憑性に関する平成4年東京地裁判決(Wikipedia)


<社主から>

 読者のみなさま、こんにちは。虚構新聞社社主のUKと申します。

 まずはこの度の騒動でご迷惑おかけしたことを改めてお詫び申し上げます。

 今回の記事削除の経緯については上記の通りで、これ以上付け足すことはありません。協会側からのメッセージを大雑把にまとめると「協会の信頼を失墜させかねない内容なので削除を求める」というものでした。

 それでは具体的に記事のどの部分が信頼失墜につながる内容だったのでしょうか。昭和記念公園に「見えないトイレ」を設置するのは事実、協会に対してネット上で批判の声が挙がっているのも事実、アグネス・チャンさんが五色霊芝を販売していたのも事実、西村氏が公開質問状を掲載したのも事実、これらを踏まえて現在ネット上で寄付の在り方について議論が起こっているのも事実です。これらの指摘を「風刺でも何でもなく単なる悪口」を解釈する人もいるかもしれませんが、「アグネスは中国共産党のスパイだ」といった何の根拠もない誹謗中傷ならともかく、悪口であろうが上記が全て事実である以上、全面削除を求めるのは言論に対してあまりに暴力的ではないかと思います。

 またそれに対し、総ガラス張りの新ユニセフハウスを建設することは虚構、強化ガラス張りの現金輸送車を発注するのも虚構、これらの予算に拠出金を充てるのも虚構です。そもそもその配信元は「虚構」新聞です。特に本文最後のアグネス・チャンさんのコメントは大変デリケートな領域であるため、記事本文に「本人に取材を申し込もうとしたが、1回100万円とも言われる講演料のため取材を断念し、コメントを勝手に捏造した」と、念には念を入れてこのような但し書きまで入れました(ちなみに講演料100万円については確定的なソースが見つからなかったため「とも言われる」と伝聞調にしてあります)。

 今回当該記事の削除に応じたのは、「削除に応じることなく徹底的に争う」から「頭を丸めて全面的に土下座謝罪」までを含め、さまざまな選択肢が考えられる中で、「抗議と削除のメールが来た」という事実を公にすることが、この問題を考えるうえで最も効果的であると判断したためです。嘘・フィクションであることを明示し、なおかつ本文を最後まで読めば内容が支離滅裂であることが明白であるにも関わらず、個々の記述に含まれた事実も含め「記事全体として誤解を招く」という理由で、協会が全文削除要請という対応を取るのだということを明らかにしたほうが一層議論が深まるのではないかと思ったからです。事実、今回の件に関しては、ネットでの反応を見る限り本紙と協会の対応についてそれぞれ賛否が渦巻いています。

 このような判断から今回は要請即削除という対応を取りましたが、本紙としてこれを前例とするつもりはありません。今後についても対応を協議したうえでケース・バイ・ケースとしていきます。


<処分内容>

 検討会議の結果、本紙編集部では当該記事の執筆を担当した社主UKに対し、以下のような処分を発表しました。

 (1)3か月間減給50%
 (2)記事執筆禁止処分1週間
 (3)政治カテゴリに関する記事執筆の禁止(13年12月31日まで)
 (4)今後日本ユニセフ協会とアグネス・チャンさんを記事として取り上げる場合は、必ず接頭辞に「裏表のない」をつけること

 以上。

虚構新聞友の会

本紙友の会へ入会すると、会員専用掲示板に書き込みができます。

人気記事ランキング

今月の一冊

「今月の一冊」バックナンバー

虚構新聞社のRSS/SNS

虚構新聞のウェブサービス

虚構新聞社の本

注目コンテンツ