「日本の「謙虚」、海外アピールに200億計上」についてお詫び
2015年2月17日付の掲載記事「日本の「謙虚」、海外アピールに200億計上」につきまして、経済産業省が16年7月からクールジャパン戦略「世界が驚く日本」として、類似の政策を行っていることがわかりました。虚構世界の現実を伝えることを目的とする本紙におきまして、記事が一部現実化してしまったことを、関係者と読者のみなさまに深くおわびいたします。「産経新聞」4月2日付記事「経産省の「日本のすごさ」まとめた冊子「世界が驚くニッポン!」が炎上」によると、経産省「世界が驚く日本」研究会が3月8日に公表したコンセプトブック「世界が驚くニッポン!」に「自然との同化感覚が、自然の恵みに感謝し、謙虚であろうとする道徳、倫理観にもつながっている」という日本人の謙虚を海外に大きく発信する内容が含まれていました。また、同紙ではこの冊子について「ウェブ上では「謙虚さを世界に知らしめるってもはや謙虚じゃない」などという声が上がっている」とも伝えています。
上記記事の公開後「現実の出来事を伝えたのではないか」という指摘が本紙に複数寄せられたため、詳しく調査を進めていましたが「概ね誤報と判断せざるを得ない」との結論に達しました。
判断の根拠として、本紙記事の「海外ではネガティブに捉えられがちな「奥ゆかしさ」「謙虚さ」についてもその具体的事例とともに紹介する」ならびに「日本人の美徳をまとめた各国語小冊子600万部を無料配布」という記述が現実に極めて近かったこと、また見出しでは予算として「200億円計上」とお伝えしましたが、平成29年度予算では事業を推進する官民ファンド「クールジャパン機構」に210億円の出資等資金供給を計上しており、金額がほぼ正確な数値だったことも問題視しました。
これらを総合的に検討した結果「『江戸しぐさ』という完全な虚構部分を除き、本文の半分以上に現実に近い政策が含まれているため、相当程度の誤報と判断せざるを得ない」との結論に至りました。
2015年10月「シャープ、゜の売却を検討」以降、本紙では誤報にならないよう慎重な裏付けによる現実離れした報道を心がけ、その後1年半にわたって一度も誤報を出さずお伝えしてきましたが、再び読者の信頼を裏切るような事態に至ったことは甚だ遺憾としか言いようがありません。日本人の美徳とされる「謙虚」や「奥ゆかしさ」を海外に向けて積極的にアピールするという、初歩的な矛盾をはらんだ政策を経産省の官僚や識者があえて堂々と実行するという形で、記事が現実のものとなってしまったのは痛恨の極みです。
当該記事を執筆した社主UKは編集部の聞き取りに対し「こちらが現実に近づいたというより、現実がこちらにすり寄ってきた気がして腑に落ちない。民間企業が記事を現実化することは何度か経験してきたが、まさか国が現実化に乗り出してくるとは思わなかった。メディア報道に対する締め付けをひしひしと感じる」と説明しています。
再発防止策として、入念な調査に基づくこれまで以上に現実離れした政策を報道するよう社内の周知徹底を図ります。
なお記事の発表から2年が経過していることを踏まえ、編集部では社主UKに対し、明日7日から本社ビル地下3階地下牢拘留2日間(ゲーム禁止・おやつ抜き)の処分を言い渡しました。なお十分なバックアップ態勢が整っているため、処分中も記事執筆及びサイト運営に影響はありません。
日ごろ本紙を信頼してくださっている読者のみなさまにおかれましては、この度の誤報でご迷惑おかけしたことを改めておわびします。(編集部)