Kyoko Shimbun 2022.05.20 News

SDカード、どんどん小さく… IT業界、「ステルス値上げ」常態化 これは嘘ニュースです

SDカードのステルス値上げを疑問視する投稿
 商品の価格を変えずに容量を減らすことで実質的な値上げを行う「ステルス値上げ」に、消費者から不満の声が高まっている。これまでコンビニ弁当や菓子類など食品に注目が集まっていたが、「最もステルス値上げが激しいのはIT業界」という声がネット上で上がり始めた。

 「ちょっと待って!さっき買ったSDカードちっちゃすぎない!?どっちも2000円なのに損した気分」。今月初めにSNS上に投稿された1枚の写真とコメントが大きな注目を集めた。投稿に添えられた写真にはSDカードとマイクロSDカードが並んで写る。記憶容量はどちらも128GB(ギガバイト)だ。

 マイクロSDカードの重量は0.5グラムで、SDカードの4分の1。価格・記憶容量が変わらないにもかかわらず、グラム単価は1千円から4千円まで4倍に跳ね上がる。重量を減らした理由について、メーカー側は「規格変更」と説明しているが、明らかなステルス値上げだ。中には「持ち運びに最適」など、あえて単価値上げを誇示する、開き直りのような挑発的文言を並べたマイクロSDカードもある。

 ITに詳しい京都情報技術科学院の坂本義太夫上席特別研究員(フェロー)は「歴史的に見て、IT業界はステルス値上げばかり行ってきた」と指摘する。1980年代、ソニーのポータブルオーディオ「ウォークマン」や、携帯電話の先駆け「ショルダーフォン」など電子機器の多くは、中に電子部品をぎっしりと詰め込んでいた。しかし「IT革命」と呼ばれた2000年代以降、企業は商品の小型軽量化を加速。その結果、デジタル機器のグラム単価は、物価上昇率をはるかにしのぐペースで上昇し続けている。

 ステルス値上げが横行、常態化しているIT業界の中で、ほぼ唯一の例外は据え置き型ゲーム機だ。20年に発売されたソニーの「プレイステーション5」は重量約4.5キログラムと、前世代機「4」の約2.0キログラムから2倍以上に増加。またマイクロソフトの最新機「Xbox Series X」も前世代機「One」の約2.9キログラムから約4.5キログラムに重量を増やした。両社とも製品のグラム単価を半額程度に下げており、坂本フェローは「手に入りにくいことを除けば良心的だ」と評価する。

 長年にわたってハードウェアを中心に進んできたステルス値上げは近年、ソフトウェアにも波及しつつある。CDや書籍などこれまで重量を持っていた物理メディアの電子化だ。

 電子化されたメディアは実体が存在しないため、商品重量は0グラム。グラム単価を求めようとすると、数学のタブー「ゼロ除算」に陥って計算が不可能になるため、これまで行ってきた調査の継続性に支障が生じ、経済の実態を正確につかめなくなるおそれがある。

 「ステルス値上げの代名詞『ポテトチップ』でさえ、袋の中にまだかろうじて1、2枚は入っているのに、質量をゼロまで下げてモノを売るのはステルス値上げの一線を越えたと言う他ない。小型軽量化でグラム単価を上げる業界の悪しきビジネスモデルは見直すべき時期に来ている」と、坂本フェローは厳しく批判する。

 IT業界は長年、より小さい・より軽い新製品を発表しては既存製品を時代遅れにする「計画的陳腐化」の下でステルス値上げを正当化してきた。今後は、より大きい・より重い製品開発に舵を切るなど、一層消費者目線に立った経営が求められそうだ。

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