Kyoko Shimbun 2021.11.17 News

落札直後に刈られた田んぼアート、18億円で落札 これは嘘ニュースです

18億円の値が付いた「レボリューション0」
 前衛芸術家の玖波進さんが広島県で作った田んぼアートが16日、英ロンドンの競売で1200万ポンド(約18億円)で落札された。田んぼアートとしては史上最高額となった。

 作品名は「レボリューション2」。色の異なる7種類の稲を使い、9月中旬に完成した。「戦争と平和」を暗示したとみられる、戦車に踏みつぶされる稲穂を描いた絵は、その芸術性の高さから世界中が注目。購入を希望する声が多くなったため、競売にかけられることが決まった。

 8日、ロンドンで開かれた競売では、20万ポンド(約3千万円)で落札。しかし、落札が決まった瞬間、玖波さんがコンバインに乗り込み、稲を刈り取ってしまった。参加者があっけにとられる中、オークションは中止に。さらに玖波さんは翌日、SNS上に炊き上げたご飯の写真を掲載。「これは芸術ではない」とコメントを発表した。

 これら一連の模様が、注目を集めたことから、刈り取られて何もなくなった田んぼは、作品名を「レボリューション0」と改め、16日、再度競売にかけられることに。価格はみるみる高騰し、「レボリューション2」の60倍の1200万ポンドに達した。 作品を否定するパフォーマンスが、皮肉にも作品の芸術的価値を高めた格好だ。

 芸術評論家の坂本義太夫氏は、「従来の田んぼアートは、『アート』という呼び名とは裏腹に、模写やメッセージを中心とした、印象派にさえ到達しない未熟な代物ばかりだった。玖波氏の作品が評価されたことで、田んぼアートは本当の意味で『アート』と呼べる新時代に入った」と、高く評価する。

 「レボリューション0」が展示されている広島県の田んぼには、高額落札のうわさを聞きつけた人たちが多く見学につめかけた。「18億円と聞いて感動しました。見れば見るほど、考えさせられます」と話す男性が鑑賞していたのは、その隣にある休耕田だった。

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