Kyoko Shimbun 2012.06.18 News

全日本匙投げ選手権、東電・清水選手が2連覇 これは嘘ニュースです

会場となった皇子山陸上競技場(滋賀県大津市)
 どうにもこうにも手が及ばなくなって投げた匙(さじ)の飛距離を競う「全日本匙投げ選手権」が17日、滋賀県・皇子山陸上競技場で行われ、東京電力の清水選手が昨年を上回る146メートルの日本新記録で優勝し、2連覇を果たした。

 「匙を投げる」とは、患者の治療方法が見つからず、あきらめた医者が薬の調合に使う匙を投げ捨てたことに由来する慣用表現で「前途に見込みがなく、あきらめること」を意味する。だが明治以降、実際に匙を投げることで、そのような絶望的状況が来ないように祈る願掛けの風習として一般に広まるとともにスポーツ化。現在では砲丸、円盤、やり、ハンマーに続く「第5の投てき競技」として数えられるまでに発展した。

 参加選手は各都道府県予選を勝ち抜いた100人と、海外からの招待選手20人の合計120人。さらに3次の予選を勝ち抜いた上位3選手が決勝に出場した。

 1番手は匙投げの由来ともなった医師代表のブラック・ジャック選手(40)。天才無免許医師として知られるジャック選手ですら投げざるを得ないほどの匙に観客からの注目が集まった。ジャック選手は右手で匙をつかんで投てき体勢に入ると、そのまま体を3回転させ、「いくら俺でも水虫は無理だ!」と雄たけびをあげ、匙を力いっぱい宙に放った。記録は今シーズン自己最高の122メートル31。投てき記録よりも、意外な匙投げ理由に観客からどよめきが起きたことが印象的だった。

 2番手は海外招待選手として参加したイタリア・ローマ代表のユリウス・カエサル選手(26)。3年前に匙を投げ始めたばかりの若手だが、その才能を開花させ、今年4月のイタリア大会では国内新記録である120メートル18をマークした。

 観客の注目の中、カエサル選手が投てき。匙は大きな弧を描くと、みるみる飛距離を伸ばし、世界記録149メートルを大きく越える152メートル付近に落下。客席からは大きなどよめきと歓声がわき上がった。だが、記録員が確認したところ、カエサル選手が投げたのは匙ではなく、賽(さい)であることが発覚。大会規定により失格処分となった。

 最後に登場したのは昨年の覇者、東京電力の清水前社長選手(67)。陸上選手としては老齢ながら、昨年は地震と津波によって制御不能に陥った福島原発を目の前に社員の現場撤退を主張したとして、日本の歴史上、過去最大級の匙を投げたと俄然注目を集める存在になった。昨年の選手権では、日本新となる145メートル65を記録。観客の期待にこたえ、実力を存分に発揮した。

 清水選手は今年が2度目の挑戦になるが、昨年6月には原発事故の責任を取って社長職を辞任しており、昨年ほどの匙投げは期待できないとの声が多数を占めていた。だが今年5月、石油会社の社外取締役に就任することが発覚。いつ終わるとも知れない原発事故を尻目に関連会社に天下って逃げるという見事な匙投げの技巧に「この先100年は現れないであろう逸材」との評価が高まった。

 観客が見守る中、清水選手は握った匙を軽く投げると、匙はまるで空に吸い込まれていくかのように小さくなってゆき、150メートル付近に落下。昨年自らがたたき出した145メートル65を上回る、146メートル98で日本記録を塗り替え、堂々の優勝を果たした。

 優勝インタビューで清水選手は「私はもう歳ですが、東電には後進となる匙投げの逸材がまだまだたくさん控えています。今後とも弊社社員の活躍にご期待ください」と話すと、会場からは「勘弁してくれ」の声とともに大きなブーイングが巻き起こった。

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