Kyoko Shimbun 2009.10.14 News

「孤独死は甘え」 うさぎ鍛える塾が登場 これは嘘ニュースです

 ペット業界でうさぎへの注目が高まっている。小動物としての愛らしさだけでなく飼育のしやすさなどから、若い独身OLを中心に人気を集めており、今後も成長が見込まれる分野として有力だ。

 だが一方で「残業から帰ってきたらさみしさで死んでいた」というトラブルも相次いでいると言い、今後の成長不安がないわけではない。そんな中、うさぎの精神を鍛える塾が登場した。

 「うさぎの孤独死は甘え」と断言するのは、3年前にうさぎを鍛える「脱兎改心塾」を開講した亀山金之助塾長(51)。「世間では『うさぎは寂しいと死ぬ』と言われているが、うちの卒業生で死んだうさぎはいない。いるとすればそれは卒業するまでに死んだうさぎだ」と話す。

 入塾期間は3週間。預けられたうさぎにはまずベストのようなものが着せられる。ベストには微弱電流を流す装置が取り付けられており、うさぎの心電図を24時間確認すると同時に、孤独によって脈の弱まったうさぎの蘇生装置の役割を果たしている。

 入塾したうさぎはまず一般的な生活空間をそなえたワンルームに閉じ込められる。うさぎは寂しさを感じはじめると、しずかにその場に座り込む傾向があり、それに伴って心拍数が下がっていく。これが孤独死の兆候だ。

 兆候を見せるとまもなくベストのスイッチが入り、うさぎの体に微弱電流が流れ、軽い電気ショックが与えられて心拍数がもとに戻る。これを数日間繰り返すことでうさぎは人がいない環境でも正常でいられるようになるという。

 中には寂しさにも電気ショックにも耐えられなくなり、ベストを脱ぎ捨て脱兎のごとく逃げ出すうさぎもいる。亀山塾長によると「そういう甘えたうさぎもたまにいるが、再び捕まえるか、捕まえられなかったとしても結局寂しさでのたれ死ぬかのどちらかだ。そんなうさぎはいずれにせよ長生きできないし、今死ぬか後で死ぬかというささいな違いでしかない」とのことだ。

 この後うさぎは教室程度の全面真っ白な空間での孤独体験、かろうじて動ける程度の密室での監禁体験などを経て、最後の3日間は体育館程度の何もない空間に放たれる。ここまでくるうさぎになるとベストを着る必要もなく、普通に生活できるようになっている。

 こうして晴れて卒業を果たしたうさぎは飼い主の元に返される。これらの過酷体験を経験し一種の「悟り」の境地に達したうさぎは寂しさだけでなく全ての感情を超越していることが多いという。

 卒業したうさぎを引き取った飼い主の女性(21)は、「以前は私にべったりとくっついてばかりで私がいないと何もできない子だったが、帰ってきてからはまるで死んだかのように部屋の隅でまばたき一つせずおとなしく座っている。これで安心して旅行にも行けるし、とても助かっている」と話した。

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